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椅子に座るなり、彼女はスマホを机に置いて、深刻そうにため息をついた。
「……どうしよう。ストーリーに載せた写真、いいねがいつもより少なかった」
蓮司はスマホを横目で見て、肩をすくめる。
「ふーん。で、何割くらい減ったの?」
「……二割くらい」
「そりゃ世界の終わりだな」
「笑いごとじゃないです! なんか私、急に嫌われたのかなって」
「写真なに載せた?」
「コンビニで買ったアイス」
蓮司は少し考えてから、にやっと笑った。
「じゃあ原因は簡単。“見た人がアイス食べたくなったけど近くのコンビニ売り切れ”――全員恨んでる」
「そんなわけないでしょ」
「冗談だよ。でもな、SNSの数字なんて波あるし、いちいち真面目に気にしてたら疲れるだけだ」
蓮司はペン回しをしながら続けた。
「本当に見てほしい人が見てくれてたら、それでよくない?」
彼女は少し口を尖らせたが、やがて笑った。
「……まあ、そうかもしれないですね」
「そうそう。で、次は俺がいいね押すから、アイス二個くらいおごれ」
「……ていうか蓮司くん、ストーリー見てくれてたんですね」
「見たよ。アイスより、お前の必死な盛り顔のほうが気になったけどな」
「ちょっと! それは言わなくていいでしょ」
「いや、褒めてんだよ。ちゃんと努力してる証拠だろ」
「……なんか素直に喜べない」
「そう? じゃあ次は笑顔じゃなくて、無表情でアイス持ってみろ。逆にバズるかも」
彼女は呆れながらも吹き出した。
「……やってみようかな」