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ruruha
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きゆう
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📩 相談
高校二年・Kさん
親からずっと、将来は安定した仕事に就いてほしいと言われています。成績がいいと喜んでくれるし、進路の話をすると、こういう学校に行ったらいい、こういう仕事が向いているんじゃないかと、いろいろ考えてくれます。
自分のことを考えてくれているのは分かっています。学費だってかかるし、将来困らないように言ってくれているんだと思います。
でも、自分が本当にやりたいことは、親が勧める進路とは違います。
それを言うと、心配させる気がします。今まで育ててもらったのに、期待を裏切るようなことをするのも申し訳ないです。
だから、親が喜びそうな進路を選べばいいと思うこともあります。自分が我慢すれば、家族は安心できるし、誰も困らないので。
でも、何年も先の自分を想像すると、ずっとこのままでいいのかなと思います。
自分の人生なんだから好きにすればいい、と言われるかもしれません。でも、自分のために選んだことで、大切な人をがっかりさせるのが怖いです。
自分の希望を優先することは、わがままなんでしょうか。
蓮司「これ、親が悪いって話でもないんだよな。ちゃんと将来のこと考えてくれてるみたいだし」
日下部「そうだな。本人を困らせようとして言ってるわけじゃないんだろう」
遥「……でも、考えてくれてるからこそ、言いにくいんだと思う」
蓮司「そう。相手が明らかにひどいことしてるなら、嫌だって言いやすいんだよ。自分のためにしてくれてることだと、断るだけで悪いことした気分になる」
日下部「ただ、善意で言われたことでも、本人が望んでいないなら、それで決まりにはならない」
遥「でもさ……自分が選んだことで、親がすごく悲しんだら?」
日下部「悲しむこと自体はあるだろうな」
遥「……うん」
蓮司「そこで即答しないんだな」
遥「だって、悲しませたくないって思うのも、変じゃないから」
蓮司「変じゃないよ。でも、相手を悲しませないことを最優先にしたら、自分の選択肢がどんどん減っていく」
日下部「それに、親が安心する進路を選んだとしても、本人がその先で苦しくならない保証はない」
蓮司「親の期待に応えたら、今度はその仕事を続けることになるだろ。就職したら終わりじゃない。次はちゃんと働け、辞めるな、生活を安定させろって、人生は続いていくんだから」
遥「……選んだあとに、やっぱり違ったって思ったら?」
日下部「そのときに考えればいい。進路を選ぶ段階で、将来の全部に責任を持つことなんてできない」
蓮司「そもそも、親の期待に応えるのと、親を大切にするのって同じなのか?」
日下部「同じではないだろ」
蓮司「だよな。親を大切に思ってるから、言うことを聞く。親を大切に思ってるから、心配させない。そうやって全部つなげると、最終的に自分の希望を捨てることまで親孝行になっちまう」
遥「……でも、実際にお金を出してもらうなら、好き勝手にはできないと思う」
日下部「それは現実的に考える必要がある。学費や生活費をどうするか、希望する進路にどんな準備が必要か。そこは無視できない」
蓮司「うん。『自分の人生だから好きにする』って言うのは簡単だけど、金も住む場所も全部自分で用意できるとは限らないしな。だからこそ、何ができて何が難しいのか、具体的に考える必要はある」
遥「じゃあ……親の希望を聞くことも、必要なのかな」
日下部「聞くことと、従うことは違う。親の意見に理由があるなら、それを知るのは大事だと思う。でも、理由を聞いた結果、自分の考えが変わらないことだってある」
蓮司「親の言うことが正しい部分もあるかもしれない。安定した仕事のほうが生活しやすいとか、収入の見通しが立ちやすいとか。でも、それが唯一の正解とは限らないだろ」
遥「……自分の選択で、親が後悔したら?」
蓮司「何を?」
遥「もっと別の進路を勧めておけばよかったとか。あのとき止めておけばよかったとか」
日下部「親が後悔するかどうかまで、本人が完全に管理することはできない」
遥「でも、自分が違う進路を選んだから、そう思わせるんだよな」
日下部「きっかけにはなるかもしれない。でも、親が何を考えて、何を後悔するかは親自身の問題でもある。子どもが全部引き受けるものじゃない」
遥は、机の上に置かれた相談用紙を見た。
蓮司「遥、おまえはどう思う?」
遥「……俺は、期待してもらえるなら、応えたほうがいいんじゃないかって思うことはある」
蓮司「自分がやりたいことより?」
遥「……うん。自分の希望なんて、別にどうでもいいって思うこともあるし。誰かが喜んでくれるなら、そのほうがいいんじゃないかなって」
日下部「本当に、自分の希望がどうでもいいのか?」
遥「……分からない」
日下部「分からないなら、どうでもいいって決めなくてもいいだろ」
遥「でも、誰かが自分のために何かしてくれたら、返さなきゃいけない気がする。自分のことを考えてくれた時間とか、使ってくれたお金とか……それを無駄にするのは、嫌だと思う」
蓮司「それは分かる。でも、相手が使った時間やお金を、相手の望みどおりに生きることで返さなきゃいけないって決まりはないだろ」
遥「……そうなのかな」
蓮司「少なくとも、俺はそう思わない。何かしてもらったら感謝はする。でも、感謝してることと、相手の希望を全部引き受けることは別だろ」
日下部「相手が自分のためにしてくれたことを、大切に思うのはいい。ただ、そのことを理由に、自分の人生を決める権利まで渡さなくていい」
遥「……自分で選ぶって、難しいな」
蓮司「そりゃ難しいだろ。選ばなかったほうの可能性は、実際に生きて確かめられないんだから」
日下部「だから、正解が分かってから選ぶことはできない。分からないなりに考えて、決めるしかないんだと思う」
蓮司「それに、自分で選んだからって、誰かを大切にしてないことにはならないしな」
遥「……うん」
蓮司「逆に、誰かの期待どおりに生きたからって、その人を大切にできてるとも限らない」
日下部「大切にする方法は、ひとつじゃない」
遥「……もし、自分の希望を選んで、あとから後悔したら?」
日下部「そのときは、そのときに考える。選び直せることもあるし、難しいこともあるだろう。でも、後悔する可能性があるからって、最初から自分の希望を捨てる必要はない」
蓮司「どっちを選んでも、何かしら気になることは残るかもしれない。だったら、誰かが望んでるからって理由だけじゃなく、自分が何を選びたいのかも考えといたほうがいいんじゃね」
遥「……自分が何を望んでるか、分からないときは?」
日下部「すぐに決めなくていい。分からないなら、調べたり、試したり、話を聞いたりすればいい。決める前にできることはある」
蓮司「親をがっかりさせるかどうかばっかり考えてたら、自分が何をしたいのか考える時間がなくなるからな」
遥「……誰かをがっかりさせないことだけが、正しい選び方じゃないんだな」
日下部「そうだな。自分も含めて、何を大事にしたいのか考えていい」
蓮司「自分の希望を優先するのが、いつでも正しいとは言わないけどさ。最初からわがままだって決めつける必要もないだろ」
🗝 三人からのことば
遥
誰かが自分のためにしてくれたことを、大切に思う気持ちはあっていいと思う。でも、その人の期待に応えられなかったら、自分には価値がないってことにはならない。自分が何を望んでいるのか、分からないままでも、すぐに捨てなくていいんじゃないかな。
蓮司
相手を大切にすることと、相手の望みどおりに生きることは違う。期待に応えたいなら応えればいい。でも、それが自分の選択なのか、がっかりされたくないだけなのかは、一度考えてみてもいいと思う。
日下部
誰かを大切に思っていても、意見が違うことはある。現実的な問題は具体的に考える必要があるけど、相手の感情をすべて自分の責任にする必要はない。自分の人生について、自分で考えて決めることまで遠慮しなくていい。
コメント
4件
私のこの相談のただの意見を言わせていただきます。(感想じゃなくてごめんなさい) 誰かの期待に答えることは、とてもいいことだと思います。でも、必ずやらないといけないことではないので、自分のやりたいことが優先だと思います!
読み終えました。 このエピソード、すごくよかったです。Kさんの「自分の希望を優先することはわがままですか」っていう言葉、すごく胸に刺さりました。親の期待に応えたい気持ちと、自分の人生を選びたい気持ちの間で揺れる感じ、めちゃくちゃリアルで……蓮司くんの「相手を大切にすることと、相手の望み通りに生きることは違う」って言葉が特に沁みました。日下部さんの「選び直せることもある」っていうのも、すごく優しいなって。 答えを押し付けずに、三人がそれぞれの言葉で一緒に考えてくれる。そんな雰囲気が好きです。素敵な話をありがとうございました🌷