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高校二年生・仮名:Sさん
人にどう思われているかが気になりすぎます。
ちょっとした一言や表情で、
「嫌われたかも」とか
「変に思われたかも」と
ずっと考えてしまいます。
あとから会話を思い返して、
「あれ言わなきゃよかった」と
何回も繰り返します。
周りの人はそこまで気にしてないと分かっていても、止められません。
気にしすぎるのってどうすればいいんでしょうか。
遥
「止めるのは難しい」
Sさん
「難しいですか」
蓮司
「ゼロにはならない」
日下部
「人は社会的な生き物である以上、他者の評価を気にするのは自然」
Sさん
「じゃあ」
少し不安そうに。
「このままなんですか」
遥
「“減らす”ことはできる」
Sさん
「減らす」
蓮司
「完全に消すんじゃなくてな」
遥
「まず一つ」
少し間。
「人はそんなに他人を見てない」
Sさん
「……」
蓮司
「これよく言われるやつだけど」
肩をすくめる。
「ほんとにそう」
Sさん
「でも」
少し食い気味に。
「自分は結構見てます」
遥
「それ」
短く言う。
「自分基準」
Sさん
「自分基準」
日下部
「自分が他人を観察しているからといって、他人も同じ密度で自分を見ているとは限らない」
Sさんは少し黙る。
蓮司
「例えばな」
指を立てる。
「昨日の友達の発言、全部覚えてるか?」
Sさん
「……あんまり」
遥
「でも自分の発言は覚えてる」
Sさん
「覚えてます」
遥
「それくらいの差」
Sさんは少し息を吐く。
「確かに」
日下部
「もう一つ」
静かに言う。
「人の反応は自分だけが原因ではない」
Sさん
「原因じゃない」
遥
「相手の体調。気分。過去の出来事」
蓮司
「眠いとかもあるしな」
Sさん
「……」
遥
「でもSさんは」
少し視線を向ける。
「全部、自分のせいにする」
Sさん
「はい」
蓮司
「それしんどいだろ」
Sさん
「しんどいです」
日下部
「思考の癖になっている可能性がある」
Sさん
「癖」
遥
「“悪い解釈を選びやすい癖”」
Sさん
「選んでる」
遥
「無意識だけどな」
蓮司
「で」
軽く手を振る。
「最悪の結論に直行」
Sさん
「……」
小さく頷く。
日下部
「ではどうするか」
少し間。
「別の解釈を用意する」
Sさん
「別の」
遥
「“嫌われたかも”って思ったら」
少し考える。
「“ただ疲れてるだけかも”」
蓮司
「“眠いだけかも”」
日下部
「“特に意味はないかもしれない”」
Sさん
「……」
遥
「一個に決めない」
Sさん
「決めない」
蓮司
「可能性を増やす」
Sさんは少し考える。
「でも」
不安そうに。
「本当に嫌われてたらどうするんですか」
遥
「そのときは」
短く言う。
「嫌われてる」
Sさん
「……」
蓮司
「全部の人に好かれるの無理だしな」
遥
「現実としてある」
少し間。
「でも」
Sさんを見る。
「今のSさんは“確定してないのに確定扱いしてる”」
Sさん
「……はい」
日下部
「事実と解釈が混ざっている」
Sさん
「混ざってる」
遥
「表情が固かった。これは事実」
蓮司
「嫌われた。これは解釈」
Sさん
「……」
遥
「この二つを分けるだけでも少し楽になる」
Sさんはゆっくり頷く。
「あと」
少し迷う。
「考えすぎるのって止められないです」
遥
「止めなくていい」
Sさん
「え」
蓮司
「無理に止めると余計回る」
遥
「代わりに」
少し言う。
「時間決める」
Sさん
「時間」
日下部
「例えば“10分だけ考える”」
Sさん
「10分」
遥
「それ以上は一旦終わりにする」
蓮司
「強制終了」
Sさん
「できるか分からないです」
遥
「最初は難しい」
少し間。
「でも“区切る”意識が大事」
Sさんはしばらく黙る。
「人にどう思われてるかって」
小さく言う。
「ずっと気にしなきゃいけないものだと思ってました」
遥
「ある程度はな」
蓮司
「でも」
軽く笑う。
「常時フル稼働はいらない」
日下部
「必要なときだけ使えばいい」
Sさんは立ち上がる。
ドアの前で振り返る。
「全部自分のせいにしてたかもしれません」
遥
「その癖に気づけたなら一歩進んでる」
蓮司
「だいぶ楽になるぞ」
日下部
「思考は修正できる」
Sさんは小さく頭を下げた。
ドアが閉まる。
蓮司が言う。
「“気にしすぎる人”って優しいんだよな」
遥
「他人のこと見てるからな」
日下部は静かに言う。
「しかし」
少し間。
「優しさが自分を追い詰めることもある」