テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
昼過ぎ、二人とも画面から目を離したのは、ほぼ同時だった。
集中が切れたというより、自然に区切りが来た感じ。
「……外、出る?」
真白が言う。
「散歩?」
「うん。五分でも」
アレクシスは一瞬考えて、頷いた。
「じゃあ、上着だけ」
コートを羽織り、鍵を持つ。
目的はない。ただ外に出るだけ。
玄関を出ると、冷たい空気が頬に触れた。
「寒い」
「思ったよりな」
「でも、気持ちいい」
歩き出すと、住宅街は静かだった。
正月が終わったあとの、少し間の抜けた感じ。
「仕事、どう?」
「始まったって感じ」
「俺は、まだ助走」
「真白らしい」
「否定しないよ」
角を曲がり、コンビニの前を通る。
自動ドアの音がして、誰かが出てくる。
「寄る?」
「寄る」
理由はないけど、自然だった。
店内は暖かく、二人とも一瞬だけ肩の力が抜ける。
飲み物売り場で立ち止まる。
「これ、新しい」
「甘い?」
「多分」
「仕事中向きじゃないな」
「じゃあ帰ってから」
結局、ホットの飲み物を一つずつ。
外に出て、蓋を開ける。
「……湯気すごい」
「冬だな」
少し歩いて、公園のベンチに座る。
誰もいない。
「こんな時間に外出るの、変な感じ」
「でも、嫌じゃない」
「うん」
真白は飲み物を一口飲んで、息をつく。
「戻ったら、また仕事だね」
「現実」
「でも、さっきよりはマシ」
アレクシスは頷く。
「切り替えできた」
しばらく黙って、空を見る。
雲がゆっくり流れていく。
「そろそろ戻る?」
「うん」
立ち上がり、また並んで歩く。
家が近づくと、不思議と気持ちも戻ってくる。
鍵を開ける前、真白が小さく言った。
「付き合ってくれて、ありがと」
「外出は、共同作業だ」
「何それ」
「気分転換の」
真白は笑い、ドアが閉まる。
仕事の続きは待っている。
でも、少しだけ軽くなっていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!