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教室のざわめきの中、大地は机の上のノートを手に取り、にっこり笑った。
「おおっ、今日の落書きは“バーカ”か! しかも♡マーク付き! ……これはつまり隼人からの告白だな!」
教室が一瞬静まり、すぐに笑い声が広がる。
黒板の前で腕を組んでいた隼人は、顔を真っ赤にして叫んだ。
「ちげーよ! 嫌がらせだ!」
「えー? 愛の手紙だろ? 俺、ちゃんと取っておくから!」
「捨てろ!」
笑顔でノートを抱きしめる大地に、クラスはもう爆笑だった。
休み時間。
大地が机を開けると、中は消しゴムのカスでいっぱいだった。
「おっ、砂浜!? 隼人リゾート開業!?」
「……はぁ?」
「ここにヤシの木とパラソル描いたら完璧だな! あ、隼人も水着で来てよ!」
「行くかバカ!」
さらに、教科書を開けばページがノリで貼り合わされている。
だが、大地は涼しい顔で言った。
「おー、隼人の愛のメッセージ入りサプライズブック!」
「どこがだ!」
「ほら、“ページをめくるな、俺だけ見ろ”ってことだろ?」
「勝手に解釈すんな!」
笑いに変換されていくたび、隼人の方がダメージを食らっていった。
昼休み。
上履きがない。……いや、正確には窓の外に放り出されていた。
「やったー! これで俺も空飛ぶシンデレラだ!」
「バカかお前は!」
「じゃあ隼人、王子様役で迎えに来てくれよ!」
「断る!」
「えー、じゃあガラスの靴の代わりに“隼人の靴”貸して!」
「誰が貸すかっ!」
素足で廊下を駆け回る大地を見て、クラスはもう爆笑の渦だった。
放課後。
机の中に紙切れが入っていた。
大地はまたしてもにっこり笑って取り出す。
「お、“バーカ”に……今日は“死ね”って書いてあるな。進化した!」
「……だから嫌がらせだっつってんだろ」
「でも隼人から毎日メッセージもらえるの、俺だけじゃん? ……特別ってことだよな」
そう言って、胸に紙をしまい込む。
その真剣な笑顔に、隼人の心臓が跳ねた。
「な、なんでお前……そんな顔すんだよ」
「だって、俺……隼人が構ってくれるの嬉しいから」
一瞬、空気が止まる。
照れ隠しに隼人は声を荒げた。
「バ、バカか! いじめだっつーの!」
「わかってるって。……でも俺にはプロポーズにしか見えないんだよなぁ」
そう言って笑う大地に、隼人は耳まで真っ赤になった。
その夜、大地はベッドの上で紙切れを見つめながらつぶやいた。
「いじめのはずが……やっぱりプロポーズだよな、これ」
そして翌朝。
隼人の姿を見つけると、いきなり大声を上げる。
「隼人! 昨日のプロポーズの返事! 俺はOKだ!」
「勝手に答えるなーーっ!」
今日もまた、教室は二人の漫才で幕を開けた。