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中学三年生・仮名:Kさん
友達と遊んだり、誰かと一緒にいるときは楽しいです。
でも、帰り道とか家に着いたあと、急に虚しくなります。
さっきまであんなに楽しかったのに、全部終わった感じがして、一気に気分が落ちます。
「また一人だな」って思ってしまって、何もする気がなくなります。
別に一人が嫌いなわけじゃないのに、この感覚がよく分かりません。
これって普通なんでしょうか。
遥
「普通」
Kさん
「……」
蓮司
「結構ある」
Kさん
「そうなんですか」
日下部
「珍しくはない」
Kさん
「……」
少しだけ安心した顔。
「なんでなんですか」
遥
「落差」
Kさん
「落差」
蓮司
「人といる時間ってさ」
少し手を動かす。
「刺激多い」
Kさん
「はい」
日下部
「会話、表情、反応」
Kさん
「……」
遥
「それが一気にゼロになる」
Kさん
「……」
遥
「静かになる」
Kさん
「はい」
蓮司
「で、脳が」
少し笑う。
「“あれ、さっきまで何かあったのに”ってなる」
Kさん
「……」
日下部
「余白が急に増える」
Kさん
「余白」
遥
「そこに虚しさが入る」
Kさん
「……」
少し考える。
「でも」
小さく言う。
「なんか、終わった感じがして」
遥
「それも普通」
Kさん
「……」
蓮司
「楽しい時間って」
少しだけ言葉を選ぶ。
「区切りがはっきりしてるからな」
Kさん
「区切り」
日下部
「開始と終了が明確」
Kさん
「……」
遥
「終わると」
短く。
「反動が来る」
Kさん
「反動」
蓮司
「ジェットコースター降りたあとみたいな」
Kさんは少し笑う。
「それは分かります」
遥
「あと」
少し間。
「人といるときって」
言葉を続ける。
「自分の存在が確認される」
Kさん
「確認」
日下部
「反応が返ってくるからな」
Kさん
「……」
遥
「一人になると」
少しだけ言う。
「それがなくなる」
Kさん
「……」
蓮司
「で、“あれ、俺今ここにいる?”みたいな」
Kさん
「……」
少し頷く。
「そんな感じです」
遥
「だから虚しくなる」
Kさん
「……」
しばらく黙る。
「これって」
小さく言う。
「一人がダメってことですか」
遥
「違う」
即答。
Kさん
「え」
日下部
「むしろ逆」
Kさん
「逆」
蓮司
「ちゃんと楽しかった証拠」
Kさん
「……」
遥
「満たされたあとだから」
短く言う。
「空になる」
Kさん
「……」
ゆっくり理解していく。
「じゃあ
悪いことじゃないんですね」
遥
「悪くない」
蓮司
「正常」
日下部
「自然な変化」
Kさん
「……」
少し安心したように息を吐く。
「でも」
まだ少し不安そうに。
「しんどいのはしんどいです」
遥
「対処はできる」
Kさん
「対処」
蓮司
「クッション入れる」
Kさん
「クッション」
日下部
「急にゼロにしない」
Kさん
「……」
遥
「帰り道に音楽聴くとか」
蓮司
「誰かと少しだけLINEするとか」
日下部
「緩やかに落とす」
Kさん
「……」
遥
「いきなり一人の静けさに戻らない」
Kさん
「なるほど」
蓮司
「あと」
少しだけ真面目に。
「“虚しい=ダメ”って思わないこと」
Kさん
「……」
日下部
「感情に評価をつけすぎない」
Kさん
「……」
遥
「波だから」
Kさん
「波」
遥
「上がったら下がる」
Kさん
「……」
蓮司
「ずっと楽しいままの方が不自然」
Kさんは少し笑う。
「確かに」
遥
「虚しさも含めて」
少しだけ言う。
「一日の流れ」
Kさん
「……」
小さく頷く。
立ち上がる。
「なんか」
少し考えてから。
「安心しました」
遥
「それでいい」
蓮司
「異常じゃないって分かるだけで違う」
日下部
「理解は負担を軽くする」
Kさんはドアの前で振り返る。
「帰り道、ちょっと工夫してみます」
遥
「いいな」
蓮司
「クッション忘れんなよ」
日下部
「緩やかに戻す」
ドアが閉まる。
静かな空気。
蓮司が言う。
「楽しかったあとに虚しくなるやつ、全員ちょっと損してる感じするよな」
遥
「でもそれ込みで楽しさだからな」
日下部は静かに言う。
「落差があるからこそ」
少し間。
「高低が認識できる」