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高校三年生・仮名:Aさん
友達とは仲がいいと思います。
実際、よく遊びますし、
相談もされます。
でも、一緒にいるとき
ずっと気を使ってしまいます。
会話が止まらないように
話題を探したり、
相手がつまらなそうにしてないか
ずっと様子を見てしまいます。
沈黙があると、
「自分が何か間違えたかな」
と不安になります。
家に帰ると、
楽しかったはずなのに
すごく疲れています。
相手のことは好きです。
でも、こんなに気を使うのは
おかしいんでしょうか。
遥
「まず結論から言うと」
少し間を置く。
「おかしくはない」
Aさん
「……そうなんですか」
蓮司
「むしろよくあるやつ」
椅子に寄りかかる。
「仲良いから気を使わない、って
実際そんな単純じゃない」
日下部
「Aさんは
“関係を壊さないように”
常に調整している」
Aさん
「調整……」
遥
「場の空気の温度管理みたいなやつ」
蓮司
「沈黙が来たらすぐ暖房つける」
Aさんは少し笑う。
「そんな感じです」
日下部
「Aさんの意識の中では
沈黙=何か問題、になっている」
Aさん
「はい」
遥
「でもな」
少し考える。
「仲良い関係って沈黙普通にある」
Aさん
「ありますか」
蓮司
「あるある」
肩をすくめる。
「むしろ
気を使ってない証拠だったりする」
Aさんは少し驚く。
「え」
遥
「ずっと会話回してると」
少し笑う。
「ラジオDJみたいになる」
蓮司
「友達はリスナーじゃない」
Aさん
「……」
日下部
「Aさんは
“会話を成立させる責任”を
自分が背負っている」
遥
「でも本来それ、二人でやるもんだ」
Aさん
「確かに
自分ばっかり話題出してる気がします」
蓮司
「たぶん相手」
少し考える。
「そこまで考えてない」
Aさん
「考えてない」
遥
「沈黙=失敗、って思ってない」
日下部
「沈黙は
会話の終わりではなく
休憩のこともある」
Aさんは黙る。
少しして言う。
「でも」
言葉を探す。
「気を使うのってやっぱり疲れます」
遥
「そりゃな」
蓮司
「常にアンテナ張ってるから」
日下部
「Aさんは
相手の感情を
先回りして処理しようとしている」
Aさん
「……そうかもしれません」
遥
「でもそれ」
少し真面目な声。
「全部当たってるわけじゃない」
Aさん
「え」
蓮司
「人の気持ちってそんなに読み切れない」
遥
「“つまらなそう”って思った顔」
指で空中に線を引く。
「実は眠いだけとか」
蓮司
「普通にぼーっとしてるだけとか」
日下部
「人の表情は
必ずしも感情の証拠ではない」
Aさんは少し笑う。
「確かにそうかもしれません」
遥
「気を使うこと自体は悪くない」
蓮司
「むしろ優しいやつだ」
日下部
「ただ」
少し間。
「それが“ずっと続く状態”だと
自分が消耗する」
Aさん
「……はい」
遥
「だから一つだけやめてみろ」
Aさん
「一つ」
遥
「沈黙を直さない」
Aさんは少し驚く。
「直さない」
蓮司
「空白来てもそのまま」
遥
「10秒くらい放置してみろ」
Aさん
「……怖いですね」
蓮司
「たぶん誰も死なない」
遥
「むしろ相手が喋り出すこともある」
日下部
「会話の責任を少し相手に返す」
Aさんは考える。
「それならできるかもしれません」
遥
「仲良い関係って」
少しゆっくり言う。
「ずっと頑張らなくても続くことある」
蓮司
「頑張りすぎると逆に疲れて終わる」
日下部
「関係は片方の努力だけでは
長く維持できない」
Aさんは立ち上がる。
ドアの前で振り返る。
「気を使わなくなるのは無理かもしれません」
遥
「別にゼロにしなくていい」
蓮司
「少し減らすだけでだいぶ楽」
日下部
「気遣いは関係を支える力になる」
静かな声。
「ただし
自分を削りすぎない範囲で」
Aさんは小さく頷いた。
ドアが閉まる。
しばらく静か。
蓮司が言う。
「気遣い疲れタイプだな」
遥
「空気読む力、高いやつほどなる」
日下部はゆっくり言う。
「人の気持ちを考えられる人ほど」
少し間。
「自分の気持ちを後回しにしてしまう」