テラーノベル
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昼休みの終わり。
相談室のドアが開く。
「……ちょっといいですか」
「うん」
生徒は椅子に座る。
少し迷ってから話す。
「グループにいるんです」
「うん」
「普通に話すし」
「うん」
「仲悪いわけでもないんですけど」
一拍。
「なんか」
言葉を探す。
「温度が違う感じがして」
日下部は黙って聞く。
「みんなは盛り上がってるのに」
「うん」
「自分だけ」
一拍。
「ちょっと外側みたいな」
静か。
「笑ってはいるんですけど」
「うん」
「心はそこまで乗ってないというか」
視線が机に落ちる。
「別に嫌いじゃないんです」
「うん」
「でも」
言葉が少し弱くなる。
「楽しいかって言われると」
沈黙。
「……よく分からない」
日下部は少し考える。
「そのグループに入ったのは」
「最初からです」
「なるほど」
短く頷く。
「よくある」
生徒が少し顔を上げる。
「そうなんですか」
「ああ。人間のグループって」
一拍。
「温度が完全に揃うことはほぼない」
静か。
「誰かは」
「うん」
「少し外側にいる」
生徒は黙る。
「問題は」
一拍。
「それが苦しいかどうか」
沈黙。
「……ちょっと苦しいです」
小さく答える。
「じゃあ」
日下部は言う。
「二つある」
「二つ」
「その位置を受け入れるか」
一拍。
「別の場所も作るか」
静か。
「別の場所」
「別の友達でも」
「うん」
「一人の時間でも」
一拍。
「居場所は一個じゃなくていい」
沈黙。
「グループの中にいながら」
「うん」
「全部そこに預けない」
生徒は少し考える。
「……それなら」
一拍。
「できるかも」
日下部は頷く。
「温度が違うのは」
静かに言う。
「異常じゃない」
一拍。
「ただ」
「うん」
「自分の場所を一個増やすタイミングかもしれない」
生徒は立ち上がる。
「ありがとうございました」
ドアの前で少し止まる。
「温度違うの、自分だけかと思ってました」
日下部は言う。
「大体そう思う」
一拍。
「でも大体、みんな少し違う」
ドアが静かに閉まる。
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