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蓮司の相談室3

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蓮司の相談室3

20 - 第20話 助けてほしい人ほど、助けられない

2026年02月28日

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相談者は座るなり言った。


「助けてほしいやつがいるんだよ」


蓮司は顔を上げる。


「誰だ」

「友達。たぶんきつい。でも言わない」

「様子で分かるタイプか」

「分かる。前より笑わないし、遅刻増えたし、帰るの早いし、既読遅いし」

「観察しすぎだな」

「見えるんだよ」


相談者は指先で机をなぞる。


「たぶん限界近い。でも“大丈夫”しか言わない」

「で、助けたい」

「助けたい。でも無理」

「何が」

「踏み込むと嫌がる。深い話になると話題変えるし、聞くと笑うし、“平気だって”って言う」


蓮司は頷く。


「典型だな」

「放っといたら崩れそうなのに、触ると離れる」

「距離の罠だな」


相談者は少し苛立った声になる。


「助けてほしいやつほど助けられないっておかしくない?」

「おかしくない」

「逆じゃない?」

「助けられるやつは、助けてって言えるやつだ」


少し沈黙。


「俺さ」

「何だ」

「ほんとにやばいなら言うと思ってた」

「言わない」

「なんで」

「言える段階ならまだ軽い」


相談者は黙る。


「じゃあどうすればいい」

「助けようとするな」

「は?」

「支えろ」

「違いは」

「解決しようとすると逃げる。隣にいるだけなら逃げない」


相談者は納得していない顔をする。


「意味あるのか」

「ある。孤立が一番削る」

「でも何も変わらない」

「変えようとするな」


少し間。


「声かけるなら短くしろ。“最近どう?”とか要らない。“帰る?”とか“コンビニ行く?”とかでいい」

「普通すぎない?」

「普通が一番侵入しない」


相談者は息を吐く。


「助けたいんだよ」

「それが重い」

「ひどくない?」

「本音だ。助けたい顔は圧になる」


相談者は苦笑する。


「じゃあ何もしない方がいい?」

「消えるな。それだけ守れ」

「それだけ?」

「やばいやつの周りって、徐々に人減るからな」


沈黙。


「俺が最後の一人になるかも」

「その可能性はある」

「怖いな」

「だから“助ける役”になるな。“いる役”になれ」


立ち上がる。


「助けられないってさ」

「何だ」

「無力感すごい」

「正常反応だ」


ドアに手をかける。


「崩れたらどうする」

「そのとき初めて大人呼べ」

「遅くない?」

「それまでは本人の領域だ」


ドアが閉まる。


助けたい気持ちは正しい。

でも、踏み込める範囲は限られている。


本当にきつい人に必要なのは、

助ける人じゃなく、

消えない人だった。

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