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夜。
キッチンのテーブルに、紙切れが一枚。
真白の字。
牛乳
卵
コーヒーフィルター
なんか甘いもの
アレクシスはそれを見て、ペンを取った。
なんか甘いもの → 具体的に
書き足す。
しばらくして、真白が戻ってくる。
冷蔵庫を開け、閉め、テーブルの紙を見る。
「……」
ペンを取る。
具体的に → 任せる
アレクシス、戻ってくる。
「任せるは広すぎない?」
「広くていい」
「責任重大」
「期待してる」
アレクシス、考える。
書き足す。
任せる → 後悔しない?
真白、横から見る。
「しない」
「本当に?」
「しない」
「量は?」
「常識の範囲」
「俺の常識?」
「一般的な」
「難しい」
アレクシスは腕を組む。
「チョコ?」
「いい」
「クッキー?」
「いい」
「ケーキ?」
「いい」
「全部?」
「……」
真白、少し考える。
「常識の範囲」
「線引き」
「任せる」
「戻った」
沈黙。
アレクシスがペンを置く。
「じゃあ、俺が食べたいものも入るけど」
「いい」
「本当に?」
「一緒に食うなら」
「優しい」
「合理的」
「今、優しいって言われると否定しないね」
「否定するほどでもない」
少し間。
「真白」
「ん」
「最近、甘いの欲しがるよね」
「疲れてるときだけ」
「今?」
「疲れてる」
「じゃあ多めで」
「常識の範囲」
「了解」
アレクシスは上着を取る。
「行ってくる」
「ん」
ドアのところで止まる。
「……具体的な希望、最後に聞いとく?」
真白、少しだけ考える。
「柔らかいやつ」
「ざっくり」
「口に入れてすぐなくなるやつ」
「高度」
「任せる」
アレクシスは笑う。
「帰ったら一緒に食べる?」
「食べる」
「じゃあ急いで帰る」
「急がなくていい」
「でも急ぐ」
「……転ばないで」
「転ばない」
ドアが閉まる。
静かになる。
真白はメモを見る。
少しだけ口元が緩んだ。
ペンを取り、端に小さく書き足す。
ありがとう
書いたあと、少し考えて——
消した。