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歩けないくらいフラフラする俺の体をラウルが横抱きにして、ベッドのある部屋まで運んで行く。何が起きるのか既に予測済みだったのか、ベッドの上は掛け布団が避けてあり、大きなタオルが敷いてあった。濡れる体をタオルで包み、別に用意してあったタオルで髪を軽く拭いてくれる。慣れた感じにちょっとイラっとした。
(どんだけの奴らと、ラウルは寝てきたんだろう?)
こんな状況なのにそんな事をふと考えてしまう。途端に心の中でモヤッとした感情が生まれ、髪を拭くラウルの手を無意識のうちに腕で払った。
「……どうした?」
「ダメだよ、んな事……やっぱり」
「夫婦になるのにかい?」
ホント、コイツはどこまで本気なんだ?仕事も家もいつの間にか見付け、この村に永住する気みたいだけどイマイチ信じられない。
「ショービジネスの世界で生きてきたお前が、こんな小さな村で『狩人』の『嫁』とか……有り得ないだろ」
敷かれていたバスタオルで体を隠し、身を起こした。ラウルから距離を取りってヘッドボードに背中を預ける。体はまだ火照っていて辛かったが、勢いでなんか絶対に嫌だった。
「『こんな生活はつまらない』とか『華やかな世界に帰りたい』って言い出すんじゃないかって事か?」
「あぁ」
頷いた俺の顔を見て、ラウルがとても嬉しそうに笑い、ベッドの上を四つん這いになりながらにじり寄って来た。真っ黒い尻尾がゆらりと揺れていて獲物に近づく肉食獣の様だ。
「それって、『何処かに消えたらどうしよう』って不安になるくらい、俺の事が好きって事にならない?違う?」
「…………は?」
「だってそうだろう?『嫌いだから触るな』って言えば俺だって諦めるかもしれないのに、トラビスはそれを口にしないんだし」
そうかもしれないけど、ヴァールスに対して嫉妬した事例が既にあるから、『嫌い』だなんて嘘は言えない。かといって、結婚したい程好きかと訊かれると、それも確信が無い。好きだ惚れただなんだと考える隙すら無いまま、ベッドにまで運ばれた様なものなんだから仕方がないだろ。
「好きだよ、トラビス。俺はずっと前から好きだった。早くこの村で暮らしていける様に、必死に観光業の発展に貢献もしたし、此処に観光客を集める為に王都での宣伝にも勤しんだ。だって、自分が出来る仕事は限られているからね。それが此処でも出来るように努力したのは、全てお前が欲しかったからだ」
「ずっと……?」
「うん、そうだよ」
ゆっくり近づいていたラウルが、鼻先を擦り寄せて来た。
「好きだよ。優しくって、可愛くって、んなのに狩人の仕事をしちゃうくらいに勇ましくって、すばしっこくって、容赦無く獣を仕留める姿とか……もうホント、ゾクゾクする」
頰を擦り寄せ、俺の耳をまた噛んでくる。執拗過ぎないか?って思ったが、見付けた弱点を突くのはこういった時の基本なのだろう。
「やめ……っ」
顎を引き、ラウルから顔を逸らす。最近の村の発展ぶりにラウルが尽力していた理由が全て俺の為だったと言われ、正直かなり嬉しい。
(けど……やっぱり先に進むのは怖い。色々と慣れてそうな相手に、何をどうしろって言うんだ)
「大丈夫だよ、俺に任せて。そのままじゃツライよね?」
タオル越しに、鎮まらないままの屹立を撫でられ体にゾクッと快楽が走った。心を読まれているみたいな感じもして戸惑いが隠せなくなる。
ラウルが俺の脚に跨って座り、体を隠していたバスタオルをゆっくり捲る。
「ゆっくり呼吸して、大丈夫。ちょっと気持ちよくなるだけだって」
「は……初めてだから、その……」
「俺だって男相手は初めてだよ?」
(……つまり、女の人相手は散々してんのな)
またイラッとした。一言余計なんだよ、ったく。
「抱かれるならトラビス相手じゃ無いと嫌だったからね。んでも……発散しないと、お前のこと襲っちゃいそうだったから……その……」
「もういい、黙ってろよ」
そうだったろうって事はわかっているけど、今までの経験のことなんか知りたくも無い。……あぁ、俺また嫉妬してるなって、今回は流石に自覚出来た。
自分の尻尾をラウルの尻尾に絡めていく。恐る恐る手を伸ばすと、俺はラウルの屹立にそっと触れた。
「ト、トラビス⁈」
かなり驚いたのか、ラウルがあげた声が少し裏返った。
屹立の切っ先からは先走りが滴り、蕾にまで垂れている。ヒクヒクと震えていて、すぐにでも快楽を欲しているみたいだった。
触れたはいいが、どうしていいのかわからない。『自慰みたいにしたらいいのかな?』と手を動かしたら、ラウルが可愛い声をあげながら俺の首に抱きついてきた。
「そんな、まさか俺のに触るとか……嘘だろ?」
嬉しそうな声でラウルが喜んだ。ラウルの腰がゆっくり揺れ、熱い吐息が首にかかる。気持ち良さそうに震える姿が可愛くってしょうがない。ちょっと握る力を強め、根元を擦りながら指先で亀頭を軽く擦ると、ラウルが背を逸らして、あっさり欲望が弾けた。
「あぁぁっ!」
喜悦に満ちた顔で、弾けた屹立から大量の白濁液をラウルが吐き出す。俺の手や腹に液が飛び散り、ぬるっとしたモノを俺はじっと見詰めた。
(今日だけで二度目……なんだよな?本当に?随分量が多い気がするけど)
そんな事を考えていると、ラウルの手が俺の屹立に触れてきた。
「トラビスが触ってくれた……トラビスが、俺に……俺の……」
ラウルの目が座り、ボソボソと呟く声がやけに低い。
「ラウル?……えっと、俺何かマズイ事したかな……」
「してないよ。嬉しかっただけだから」
俺の体にラウルが抱きついてきた。腰をあげ、俺の屹立を指で挟む様に掴み、ラウルが濡れそぼる自らの双丘の間に当てる。
「……トラビスは、こういう事って初めてなんだよな?」
「へ?あ、うん……えっと、うん……」
改めて問われると、なんか恥ずかしい。
「うん、うん。いいね、すごくいい」
恍惚とした顔で、口元に弧を描いた様に微笑まれ、背筋にゾクッと痺れるような感覚が走った。
「『夫』の『初めて』を奪うとか、『嫁』としてはこれ以上の幸せって無いと思わないか?」
腰をゆっくり落とし、狭隘な蕾のナカに俺の屹立を沈めていく。
「あ、あぁぁっ!ま、ちょっと、む、無理っ」
ひどく狭いし温かいしぬるついて気持ちいいしで、頭ん中がパニック状態になった。自分の手での自慰なんかの比じゃ無い感覚に、思わず腰が引ける。
「逃げないで、抜けちゃうだろ?」
(……それは、嫌だな)
気持ち良過ぎて素直にそう思ってしまった。
ゆっくり、ゆっくりと俺の反応を伺いながら、ラウルが俺の屹立をナカに挿れていく。ぬるつく体内を進むたびに、喜悦の声をこぼした。
「んっ……あ……。全部挿入った?」
首を傾げて訊かれ、恥ずかしいけど必死に何度も頷いてしまう。
(騎乗位ってやつだよね?コレって。ってことは……こう、だったかな)
かろうじてある知識を頼りに恐る恐る手を伸ばし、ラウルのお尻を掴んでみた。軽くラウルの体を揺すると、「んあぁ!」なんて可愛い声をラウスがあげる。
ちょっとビックリして手を止めると、ラウルがニィと猫みたいな目で笑ってきた。
「……トラビスって、ホント、ムッツリスケベだったんだな。んな事してイキナリ人の一番いい所刺激してくるなんてさ」
そんなつもりは無かったんだが……。でも気持ちいい所と言われると、もっとしてしまいたくなるのは、本能だろうか?
ラウルの尻尾に絡ませていた尻尾を解き、自分の細い尻尾を三度勃起したラウルのモノに絡ませる。何かやるたびにスケベ扱いされるなら、もうトコトンしてやろうかって気持ちになってきた。
掴んでいた手を動かし、ラウルの体をまた揺さぶってみる。するとラウルに「ふふっ」と笑われて、ちょっとムッとした気分になった。『どうせ下手だよ!』って思うと挽回したい気持ちにまでなってきた。
ラウルの大きな体を片手でぐっと抱き、体を反転させて、奴をベッドに押し倒す。褐色の脚を掴んで俺が腰を振ると、余裕の無い嬌声をあげ始めたもんだからちょっと気分が良くなってきた。
蜜で濡れる蕾のナカはすごく気持ちいいし、ラウルの声は可愛いし、あられもない姿を晒してくれる事が嬉しくって堪らない。もうそれらだけの要素で充分達してしまいそうなくらいに満足してしまう。
「ラウル……可愛いな」
呟いた自分の声が、やけにうっとりした色を持っていて、自らの事なのに驚いた。
それなのに、ラウルを穿つ動きが止まらず快楽を無心で貪ってしまう。初夜なんかまだ早い。ダメだって思っていた自分の考えが、もう遠い過去の存在みたいだ。
「トラ……ビ、まっ……や、激し——」
「こうされたっかったんだろ?『嫁になりたい』って言ったんだから、最後まで付き合ってくれないとダメだよ」
眦に涙を溜めるラウルの頰に軽くキスをする。必死にベッドの敷布を掴み、整わぬ呼吸で必死に俺から逃げるみたいな動きをしたラウルの体を押さえつけた。強引な事をしてしまい一瞬『やり過ぎた!』と焦ったが、ラウルが嬉しそうに笑ったので、この行為は正解だったみたいだとホッとした。
もうダメだ。完全に翻弄されているのがハッキリわかるけど、やめられない。
「ごめ、もぅ……」
「いぃ……から、好きに——」
許可が出たのをいい事に自分本位な動きをし、果てを求める。でもそれさえもラウルが喜んでくれて身も心も淫楽に染まった。
「……くっ!んっ」
屹立の全てをラウルのナカに押し込み吐精する。頭の中が真っ白になったが、すぐに冷静さが戻ってきた。
(マズイ、中出しはやり過ぎた!)
熱中するあまりやらかしてしまった行為に焦り、慌てて中からモノを引き抜こうとしたが——がっちりと長い脚を俺の腰に絡めてラウルがそれを阻止した。
「ラウル⁈マズイって!で、できちゃうよ」
「『孕みたい』って、俺言ったはずだけど?」
(そういや、そうだった!)
でもでも、せめて籍を入れてからじゃないと子供はマズイって!と思うのに、ギュッと抱き込むようにイチモツを締め付けられて気持ちいいせいで、抜かせてもらえないまま硬さを再びもってしまう。
「あ……ど、どうしよ……」
吐精したばかりだっていうのにまた勃起したことで動揺を隠せない。なのにラウルの方はといえば、ただ嬉しそうに笑い、俺の首に抱きついてきた。
「俺さ、まだイッてないんだよね。トラビスが満足するまで……いくらでもしていいんだよ?」
妖艶な笑みを浮かべられ、ぷつんっと何かが自分の中で切れた気がする。そのせいで、空が暁に染まる時間まで散々ラウルを抱き倒した事は、あえて語るまでも無いだろう。
ベッドの上でうつ伏せになり、ユラユラと尻尾を揺らし、頬杖をつきながらトラビスの寝顔をじっくり見ていると、とても幸せな気分になってきた。
精根尽き果てたという言葉がピッタリなくらい、トラビスは深い眠りについている。たまに大きな丸い耳がピクピクと動き、ちょっと可愛い。
「まさか、尻尾でずっと締め付けたままにされるとは予想もしてなかったよ。初の交尾でコックリング装着状態にしてくるなんて……ほーんと、天然のエロさんは厄介だねぇ」
ほっぺをツンツンしながら文句っぽい言葉をこぼすと、トラビスの眉間に少しシワが寄ったが、またすぐ元に戻った。
既成事実さえ作ってしまえば真面目なトラビスは俺から逃げないだろう。
その為だったら『魅了』の魔法を使ってでも今夜の状況に追い込んで、結婚を迫ろうかとも思っていたのだが、その必要も無く求めてもらえた事で心の満たされ具合が半端ない。
腹のナカにはたっぷりと子種が入っているし、孕む率は相当高いだろう。両親と同じ『旅芸人』なんかじゃなく、安定した家庭と家族が欲しい俺としては、是非ともこれで子供が出来て欲しい所だが——
(トラビスは、どう思っ……。——まぁいっか!何とかなるだろ。生まれちゃえばすごく大事にしそうだし、なんたってトラビス真面目だし!)
トラビスの首の下に腕を押し込み、無理矢理腕枕をする。まだ汗っぽい彼の体に抱きつくと、俺は安堵の息をついてから瞼を閉じた。今からもう数時間もしたらレーヌ村を出発するトウヤ様達の見送りに行かないといけないから、少ししか眠れない。だけど、毎夜どこの誰と寝ていようが、毎回妄想していたシュチュエーションを『本人』と出来る事で、やっと『いい夢が見られそうだなぁ』と生まれて初めて考えながら俺は眠りへと落ちていった。
【終わり】
コメント
1件
ああああもうこの回やばかった……!! トラビスの嫉妬とか戸惑いがめっちゃ伝わってきて、でもラウルの「ずっと前から好きだった」発言に全部持ってかれたわ〜! 観光業の努力も全部トラビスのためって、ラウルの執着と誠実さの両方を感じてグッときた。最後のラウル視点で「まさか尻尾で締め付けたままにされるとは」ってところ、トラビスの不意のスケベっぷりに笑った。二人の距離がグッと縮まった感があって、最高の初夜だった!🔥