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朝の光が差し込む大広間。修学旅行の宿泊先の食堂には、学年全員が揃っていた。だが、遥の席だけ、空気が異なっていた。
教師がにやりと笑いながら、彼の前に皿を置く。
「遥、これが君の朝食です。特別だよ」
皿の上には、茶色く濁った水と、ぐにゃりとした虫、そして見たこともない泥のような混合物が盛られている。
クラスメイトたちがざわめき、あからさまに笑う。
「うわ、なにそれ、食べるの? 気持ち悪い」
「昨日の顔、まだ腫れてるじゃん。よくそんなの口にできるな」
教師も箸を手に取り、薄く笑う。
「しっかり食べて、体力つけなきゃね。昨日の反省を形にするんだ」
遥は無言で手を伸ばす。口に運ぶ手がわずかに震える。
「もっと、ちゃんと口開けろ」
「噛むのが遅い、味わう前に飲み込め」
女子生徒が髪を引っ張り、男子生徒が肩を押さえつける。
「昨日より今日の方が笑えるな、泣きそうじゃん」
「顔が歪むほど食べろ、見せろよ」
教師が皿の中身を箸でつつき、泥の塊を口元に押し付ける。
「ほら、食べてごらん。君にぴったりの朝食だ」
遥は口を開け、無理やり口に押し込まれる泥水と虫を咀嚼する。
その瞬間、クラスメイトたちが笑い声を上げる。
「見ろよ、絶対吐くと思ったのに、案外平気じゃん」
「舌の動き、気持ち悪すぎ」
教師も嗤う。
「よくできたね。昨日の屈辱を今度は朝食で経験するとは、君は本当にお利口さんだ」
その声には褒める意味などなく、完全に虐げて楽しむためのものだった。
「まだ口に残ってるだろ? 全部、味わい尽くせ」
「飲み込む前にしっかり咀嚼、口の中まで確認するぞ」
遥の手首に力が入らない。肩も膝も痛みで震えている。
だが、教師も生徒も手を止めない。笑い声が響く中で、遥の心も身体も押し潰されていく。
「もっと見せろ、悲鳴より顔の歪みを楽しむんだ」
「残さず食べろ、君だけ特別扱いなんだからな」
食べるたびに、涙が頬を伝う。
でも誰も止めず、笑いながら見下ろす。
遥は小さく嗚咽を漏らし、手も口も震える。
全身が痛みと羞恥でいっぱいになる。
教師はさらに追い打ちをかける。
「昨日の感想文の時と同じだね。自分を守るために顔色一つ変えない。だけど体は正直だ」
生徒たちは笑いを重ねる。
「昨日の顔、今でも思い出すわ」
「ほら、もっと口に押し込め、早く食べろ」
遥は口の中の異物を必死に咀嚼し、飲み込む。肩と膝が限界に近づき、身体は震える。
それでも、笑い声と教師の指示が止まない。
「よくやった。でもまだ終わりじゃないぞ。全部、味わい尽くしてから次に行くんだ」
その朝、遥の体と心は、前夜の屈辱の余韻も含め、さらに押し潰された。
誰も助けず、笑いながら見下ろすだけ。
それが彼にとっての“朝食”だった。