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夜、スマホの通知音がやけに響いた。
もう何ヶ月も話していなかった友人――直哉からのDMだった。
「お前、まだ起きてる?」
短い一文。
何か胸騒ぎがして、「どうした?」と返す。既読がついて、すぐに返信が届いた。
「ごめん。たぶんこれが最後になる」
意味がわからなかった。
けれど、画面の向こうにいる彼の声が、妙に静かで、諦めたように感じられた。
「おい、どこにいる? 電話出ろよ」
打ち込む手が震える。
返ってきたのは、既読だけ。
SNSのアイコンは、次の日の朝、灰色になっていた。
それから一年。
俺はいまだに、夜になるとスマホを見つめてしまう。
彼の最後のメッセージが、どこかで更新される気がして。
「お前、まだ起きてる?」
――通知音が鳴った。
一瞬、心臓が止まる。
でも画面には、「システムエラー」とだけ表示されていた。
まるで、彼の声が、まだこの世界のどこかで鳴っているみたいに。