テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#一次創作
ruruha
273
紺@受験生 🪼🪽👑
24
ruruha
378
ruruha
302
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ドアが開く。
相談者は少し変な顔で言った。
「遊んでても、途中から急に帰りたくなる……」
蓮司は椅子を引く。
「つまらない?」
「いや。普通に楽しい時もある」
「じゃあ何」
「途中で急に、“もう十分かも”ってなる。周りまだ盛り上がってるのに、自分だけ切れてる」
蓮司は座る。
「終わりのタイミングが早いタイプか」
相談者は黙る。
「で、そこからしんどい」
「……そう」
少し間。
「帰りたいけど、空気壊したくない。だから後半ずっと演技してる」
「どんな演技」
「まだ楽しいふり」
蓮司は小さく頷く。
「その状態、結構消耗するな」
「めちゃくちゃする」
間。
「でも自分だけ先に切れるの、感じ悪くない?」
「別に」
相談者は顔を上げる。
「そう?」
「人によって“満足の上限”違うからな」
少し沈黙。
「今お前、“最後まで同じテンションでいるのが正しい”と思ってる」
「違うの?」
「無理」
相談者は苦笑する。
「まあ無理……」
「ずっと一定で盛り上がれるやつの方が少ない」
間。
「じゃあどうすればいい」
「後半の役割、変える」
「役割?」
「中心から抜ける」
相談者は眉を寄せる。
「急に静かになったら変じゃない?」
「急じゃなきゃいい」
少し沈黙。
「前半で話したなら、後半は聞き側に落ちても成立する」
「そんな切り替えていいのか」
「いい。全部同じ熱量でやる必要ない」
間。
「今までは?」
「帰りたくなった時点で、“ちゃんと楽しめてない自分”を責めてた」
相談者は黙る。
「だから余計疲れる」
少し静かになる。
「あと、お前ちょっと勘違いしてる」
「何」
「“帰りたい”は、“嫌だった”と同義じゃない」
相談者は一瞬止まる。
「……確かに」
「満足しただけの場合もある」
間。
「でも周り見てると、自分だけ早い」
「周りは周り。燃費違う」
相談者は少し笑う。
「機械みたいに言うな」
「実際近い」
少し沈黙。
「あと、帰りたくなった瞬間に、“もう全部つまらない”判定しすぎ」
相談者は視線を逸らす。
「やってる……」
「終盤の疲れで、最初まで下げてる」
間。
「じゃあ、途中で切れてもいいか」
「むしろ自然」
相談者は小さく息を吐く。
ドアの前で立ち止まる。
「後半は静か側に移動する」
「それでいい」
ドアが閉まる。
楽しかったことと、途中で帰りたくなったことは、普通に両立する。