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高校三年生・仮名:Rさん
親と仲が悪いわけではありません。
普通に会話もするし、関係も悪くないと思います。
でも、本音が言えません。
進路のことも、 本当は違うことを考えているのに、 親が望んでいそうな方を言ってしまいます。
否定されるのが怖いのか、
がっかりされるのが怖いのか、
自分でもよく分かりません。
話そうとすると、 言葉が出なくなります。
このまま決めてしまっていいのかも 分からないです。
親に本音を言えないのって おかしいでしょうか。
遥
「おかしくない」
Rさん
「……」
蓮司
「むしろ多い」
日下部
「関係が悪くないほど 起きやすい場合もある」
Rさん
「え」
遥
「壊したくないから」
短く言う。
Rさん
「……」
蓮司
「仲いいとさ」
少し肩をすくめる。
「余計に言いづらいことある」
Rさん
「あります」
日下部
「否定される恐怖というより」
少し間。
「“関係が変わることへの不安”」
Rさん
「関係」
遥
「今のバランスが崩れるのが怖い」
Rさん
「……はい」
少し小さく頷く。
蓮司
「あと」
指を立てる。
「“期待に応えたい”も混ざってる」
Rさん
「……それもあります」
遥
「だから」
静かに言う。
「自分の意見より “正しそうな答え”を出す」
Rさん
「そうです」
日下部
「合理的な行動ではある」
Rさん
「合理的」
遥
「短期的にはな」
少し間。
「でも長期だとズレる」
Rさん
「ズレる」
蓮司
「あとでしんどくなるやつ」
Rさんは黙る。
「もう少し早く言えばよかったって 思いそうです」
遥
「その可能性は高い」
正直に言う。
Rさん
「……」
少し沈黙。
「でも」
顔を上げる。
「どうやって言えばいいか分かりません」
遥
「いきなり全部言わなくていい」
Rさん
「全部じゃなくて」
蓮司
「小出し」
Rさん
「小出し」
日下部
「段階的開示」
Rさんは少し笑う。
遥
「例えば」
少し考える。
「“まだ迷ってる”だけでもいい」
Rさん
「迷ってる」
蓮司
「“別の選択肢も考えてる”とか」
日下部
「確定ではなく 途中であることを伝える」
Rさん
「……」
遥
「本音を100%出す必要はない」
Rさん
「え」
遥
「0か100で考えなくていい」
Rさんは少し驚く。
蓮司
「30%でも出せたら上出来」
Rさん
「30%」
日下部
「現実的なラインだ」
Rさんは考える。
「でも」
小さく言う。
「それでも否定されたら」
遥
「否定される可能性はある」
Rさん
「……」
蓮司
「親だからな」
遥
「価値観違うのは普通」
Rさん
「怖いです」
遥
「怖くていい」
短く。
「その上でどうするか」
Rさん
「……」
日下部
「一つ整理しておく」
静かに言う。
「“言うこと”と “従うこと”は別だ」
Rさん
「別」
遥
「意見を伝える=決定じゃない」
Rさん
「……」
蓮司
「話し合いのスタートな」
Rさん
「スタート」
遥
「今のRさんは」
少し見る。
「スタートラインにすら立ってない」
Rさん
「……」
少し苦笑する。
「確かに」
日下部
「もう一つ」
少し間。
「“言えない自分”を責めすぎない」
Rさん
「え」
遥
「怖い状況で言えないのは 自然」
Rさん
「……」
蓮司
「無理やりだと 余計詰まる」
Rさん
「そうなりそうです」
遥
「だから」
少しだけ柔らかく。
「言う準備からでいい」
Rさん
「準備」
日下部
「何を言いたいのか 紙に書くなど」
Rさん
「……それならできそうです」
遥
「いい」
短く。
蓮司
「頭の中整理できるしな」
Rさんはしばらく黙る。
「親に本音を言えないのって」
小さく言う。
「ダメなことだと思ってました」
遥
「ダメではない」
蓮司
「ただ」
少しだけ真面目に。
「言えないまま決めると 後でズレる」
Rさん
「……」
日下部
「問題は性質ではなく 影響だ」
Rさんは立ち上がる。
ドアの前で振り返る。
「少しだけでも 出してみます」
遥
「それでいい」
蓮司
「0より全然いい」
日下部
「変化は段階的で十分」
Rさんは小さく頭を下げた。
ドアが閉まる。
静かな空気。
蓮司が言う。
「親相手の本音って 一番難しいかもな」
遥
「距離近すぎるからな」
日下部は静かに言う。
「近い関係ほど」
少し間。
「本音には勇気が必要になる」