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「なあ……あいつ、ほんと人間か?」
「は? 遥のこと? いや、もう違うだろ。あれは雑巾だよ、雑巾」
「だよな。最初はちょっとやりすぎかなと思ったけど、もう慣れたわ。なんか汚れ仕事に使っても、罪悪感ねぇし」
「罪悪感? ははっ、そんなもん感じる必要ある? あいつの存在がクラスにとってゴミ処理機みたいなもんだし」
「この前、床舐めさせたとき、泣きそうになってたろ? ああいう顔、マジで笑えるんだよな」
「わかるわー。人間扱いされないのに必死でやってんのが余計にウケる」
「けどさ、あいつ、もし本気で反抗してきたらどうする?」
「反抗? するわけねーだろ。あんなの、もう自分から『雑巾です』って顔してんじゃん。逆らえないってわかってる」
「……まあ確かにな。誰からも庇われねえしな。教師も見て見ぬふりだし」
「家でも同じなんじゃね? だから抵抗の仕方なんか忘れてんだよ。だからおもしれーんだよ」
「雑巾に人権とかいらねえだろ」
「そうそう。生き物じゃなくて道具。そういう前提で使うから楽しいんだよ」
短い沈黙のあと、ひとりが薄く笑って言う。
「結局、あいつがいるから俺らは退屈しねぇんだよな」
「ま、壊れない程度に遊んでやればいいんだよ。雑巾なんだから、汚れるのは当然だし」
「そうだな。壊れたら壊れたで……また笑えるかもしれねーけど」