テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ruruha
362
ruruha
272
ruruha
558
📩 相談
高校二年生・仮名:Tさん
友達とも家族とも、ちゃんとした喧嘩をしたことがありません。
自慢ではないです。
むしろ最近、それってどうなんだろうと思っています。
周りの友達は、言い合いになったり、ぶつかったりしながら仲良くなっている気がします。
でも自分は、揉めそうになる前に引きます。
相手に合わせます。
だから大きな喧嘩になりません。
その方が平和だと思っていたんですが、もしかして逃げているだけなんでしょうか。
日下部
「俺は少し心配だな」
遥
「早っ」
蓮司
「珍しいな」
遥
「普通こういうのって“喧嘩しないのは良いこと”から入らない?」
日下部
「場合による」
遥
「怖いんだけど」
日下部
「喧嘩したことがないこと自体は問題ない。だが、一度も対立したことがないのなら話は別だ」
蓮司
「なるほどな」
遥
「俺はちょっと羨ましいけど」
日下部
「本気で言っているか」
遥
「半分くらい」
蓮司
「残り半分は?」
遥
「しんどそう」
日下部
「どっちだ」
遥
「だってさ、揉めそうになったら毎回引くんだろ。疲れないか、それ」
蓮司
「そこか」
遥
「そこだろ。 俺なら無理」
日下部
「意外だな」
遥
「いや、喧嘩は嫌いだけどずっと合わせ続けるのもしんどい」
蓮司
「その感覚は分かる。Tさんって怒らない人じゃなくて怒る前に下がる人なんじゃないかな」
遥
「それ」
日下部
「可能性は高い」
蓮司
「だから平和というより衝突を避けてる感じ」
遥
「でさ、こういう人って相手に怒ってないわけじゃないんだよな」
日下部
「ほう」
遥
「言わないだけで普通に傷ついてたりする」
蓮司
「うん。でも言う前に“まあいいか”って飲み込む」
日下部
「その結果、表面的な対立は減る」
遥
「代わりに本人の中に溜まる」
蓮司
「だから難しいんだよな。喧嘩しないことは長所にも見えるから」
日下部
「実際、長所でもある」
遥
「え?」
日下部
「感情的にぶつからない能力は価値がある。問題はそれしか方法を持っていない場合だ」
蓮司
「おお」
遥
「それは確かに」
日下部
「意見を言うか、我慢するか。二択しかない人間は苦しい」
蓮司
「本当はその間があるんだけどね」
遥
「“それ嫌だった”とか、“俺はこう思う”とか」
蓮司
「喧嘩じゃなくて対話だな」
日下部
「Tさんは喧嘩を避けてきたのではなく、対立そのものを避けてきた可能性がある」
遥
「だから逃げかどうかで言うと」
少し考える。
「逃げてる時もあったと思う」
蓮司
「お前今日は結構言うな」
遥
「でも悪い意味じゃなくて怖かったんだろ、揉めるの」
日下部
「その恐怖自体は自然なものだ」
蓮司
「だから必要なのは喧嘩することじゃないと思う」
遥
「うん」
蓮司
「自分の意見を出しても関係は終わらないって経験かな」
日下部
「その通りだ」
🗝 三人からのことば
遥
「喧嘩しない人って、実はたくさん我慢してることもある」
蓮司
「大事なのは喧嘩することじゃなくて、意見を出せること」
日下部
「対立を避け続けると、自分の意思まで消える」
コメント
1件
うわあ……すごく考えさせられる内容でした。このTさんの「揉めそうになる前に引く」感覚、自分にも覚えがある分、胸がぎゅっとなりました。喧嘩しないことは長所にも見えるけど、蓮司くんの言う「衝突を避けてる感じ」って言葉がズシリと来ますね。対話と喧嘩は違うんだ、っていう日下部さんの最後の言葉が沁みました。3人の掛け合い、それぞれの視点が本当に丁寧で、読んでいて自分自身も問いかけられている気持ちになりました。素敵な話をありがとうございます🌷