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放課後の校庭。陽の光はまだ高く、風は少し冷たかった。児童たちは輪になり、「はないちもんめ」を始める。だが、その輪の中心に立たされたのは、いつものように遥だった。
「おい、奴隷役はお前だ。行けよ!」
一人の女子が声を張り上げる。言葉には遊びの面白さなど微塵もなく、遥を踏み台として扱う冷たさが混ざっていた。
「やだ……!」
遥は拒む声を絞り出す。しかし、その声は笑い声にかき消される。手を取られ、無理やり輪の外側に立たされる。
「ちっ、力弱っ。もっと必死で手伸ばせ、奴隷!」
今度は男子が加わる。遥は体を引き、足を踏ん張るが、数人の手が押さえつけ、全身が制御される。逃げ場はない。
歌が流れる中、じゃんけんで勝った者が相手を“奪う”が、遥は常に負け役にされる。腕を掴まれ、腰を押され、笑いながら手や体を引き寄せられる。
「見ろよ、動き鈍すぎ。手も足も棒みたいだな」
「これで勝てると思ってるのか、奴隷」
あちこちから嘲笑が飛び、体の自由を奪われたまま、遥は輪の中心で揺さぶられる。転んで膝を擦りむいても、笑い声は止まらない。
「もっと必死に手伸ばせ! お前、ほんとに生きてる価値あるのか?」
小さな声で呟いた返事は、誰も聞かず、逆に笑いが強まる。遥の心は痛みと羞恥で引き裂かれ、体は全力で抵抗することすらできない。
時間が経つにつれ、遊びの輪は遥の屈辱の舞台になった。勝敗も、楽しさも、遊びの意味も消え、ただ身体と心を弄ばれる苦痛だけが残る。膝は擦り切れ、腕は赤く、息は荒い。
「ほら、もう泣きそうじゃん。泣け、泣いてみろ!」
女子の声が響く。数人の児童が体を押し、笑いながら遥を見下ろす。泣きそうになった涙は、必死にこらえるしかない。声を出せばさらに嘲られることがわかっているからだ。
輪の外の児童たちも、誰一人として助けはしない。遥は完全に“遊び道具”として消費される存在となっていた。
そして最後、歌が終わると、遥は膝をつき、息を荒くしながらも、誰にも謝らない、泣かない。ただ全身に残る痛みと羞恥を抱え、次の“遊び”を待つしかなかった。