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マウントリベンジ

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マウントリベンジ

第26話 - 第26話

115

2024年07月08日

#不倫

#恋愛

#大人の恋愛

#大人ロマンス

#第3回テノコン

#ハッピーエンド

瑠璃マリコ

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瑠璃マリコ

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週明けの月曜日、凪子は戦闘モードで身体中から力が漲っていた。

今日は色々と忙しくなりそうだ。

凪子はドライヤーで髪を乾かしながらこの後に控えている闘いへの準備を始めた。

凪子がリビングへ戻ると、良輔がちょうど玄関へ向かうところだった。

「じゃあ行ってくるよ」

「行ってらっしゃい」

凪子は玄関で夫を見送った後、身支度の続きを始めた。

今日は元気が出るような鮮やかなオレンジ色のブラウスに、白のパンツを合わせる。

化粧はいつも以上に念入りに施し、お気に入りの香水をつける。

凪子は絵里奈とは真逆のナチュラルでさわやかな香りが好きだった。

身支度が終わると、先週買ったルビーのリングを左手の薬指にはめる。

この指輪は買ってからしまっておいたので、まだ良輔は見ていない。

それからファッション誌の間に挟んでおいた例の写真を取り出すと、白い封筒に入れてからバッグへしまう。

マンションのポスト付近には防犯カメラがあるので、誰があの写真をポストに入れたのかは調べればわかる。

しかしカメラの映像を見るには開示請求というものが必要らしい。

刑事事件等で警察が介入するような場合には見せてもらえるようだが、

個人的なトラブルくらいでは簡単には見せてはもらえないだろうと紘一が言っていた。

それならばと、凪子は別のやり方でこの写真を利用する事にした。

そのやり方とは、紀子が言っていたあの映画の方法だ。

凪子は部屋を出てマンションのエントランスへ行くと、ポストにその封筒を入れた。

ポストの中には、あえて取らずにおいた直近の郵便物がある。

封筒に入った写真は、他の郵便物と一緒に夜までここへ一時置いておく。

そして今夜良輔が帰って来たら、この郵便物を取って来てもらうのだ。

その時に良輔はこの写真に気づくだろう。

一体良輔がどんな顔をして家に帰って来るのか、凪子は楽しみで仕方がなかった。

会社へ着いた凪子は、またあのワンピースの時と同じように商品企画部第三課の高野麻美の元へ行った。

歩きながらちらりと絵里奈の席を見る。すると既に絵里奈は席に着いていた。

凪子が近づくと麻美が気付いた。

「あっ、凪子おはよう！　おっ！　なによーその指輪ー、また買って貰ったのぉ？」

麻美は大きな声で凪子に聞いた。

（麻美ったらいつも良い働きをしてくれるわ）

凪子は心の中で麻美に感謝をしながら笑顔で答える。

「うん、ほら、良輔が子供を欲しがっているって言っていたでしょう？　なのに私がうんと言わないから、これでご機嫌を取ろ

うとしたみたい」

「何よーそれーっ、羨まし過ぎっ！　それにこれってルビーだよねぇ？　高そうー」

麻美は凪子の左手を掴むと指輪をうっとりと見つめる。

「うん、30万以上したって言ってたわ！　バカよね、そんな無駄遣いして…」

凪子は金額を少し盛って言った。

「さっすが次期課長、こんなのスパーンと買っちゃうんだもの！　凪子愛され過ぎだよぉー！　朝倉さんは絶対浮気なんて出来

ないよね。もし仮にしたとしても絶対遊びだろうなー。だってこんなに凪子にぞっこんなんだもの」

麻美はそう言ってケラケラと笑った。

「でもさぁ困る事もあるのよぉ。最近家にいるとしょっちゅうくっついてくるし、なんか大きな赤ちゃんが家にいるみたいよ」

凪子はそう言って苦笑いをする。

ごく自然に演技出来ているなと自分でも感心する。

「はいはいご馳走様。ワンコ夫を大切にしなさいよ！　じゃないと罰が当たるわ！」

麻美はまたシッシッと手を振って凪子を追い払うふりをした。

その仕草がおかしくて凪子は思わず声を出して笑う。

「違う違うそんな話をしに来たんじゃないのよ。サンプル表を貸してもらおうと思って」

「あ、ごめんごめん、こっちでずっと使っちゃってたわ！」

麻美はそう言うと、凪子へサンプル表の束を渡す。

「サンキュー！　じゃあね！」

凪子は笑顔でその場を後にした。

今回はすぐ絵里奈の方を見ずに、しばらく歩いてからさりげなくチェックした。

すると、絵里奈は気分を害したという表情で廊下へ出て行くところだった。

とりあえず午前中の作戦が成功したので、凪子はホッとした。

後は午後の作戦だ。

今日夫と絵里奈は資料室で密会をするはずだ。

なんとかその様子を録音出来ないかと、凪子はボイスレコーダーを持って来ていた。

レコーダーの録音時間は最大10時間なので、凪子はランチを終えるとすぐに資料室へ向かう。

そして目立たないように棚の高い位置へレコーダーを設置した。

14時からは、ちょうど凪子のチームの会議が始まるのでいったん気持ちを切り替えて会議に集中する。

こんな時だからこ、会議があってよかったのかもしれない。

もし何もなかったら、怒りのあまり資料室へ乗り込んでいたかもしれない。

そう思うと、改めて凪子は打ち込む仕事がある事に感謝していた。