「……また女、連れて帰ってたんですね」
栗山の声は震えていたが、目は鹿島を見捨てていない。
鹿島はソファに深く腰を下ろし、手にしたグラスを傾ける。
「お、今日は俺の文句か? 相変わらず律儀だな」
「……俺のせいですか?」
「いや、悪いのはお前だろ。俺を誇らしげに待ってる健気な顔、ほんと反則だわ」
栗山は息を詰め、視線を逸らす。
それでも、鹿島の手が自分の肩に伸びてくると、体が勝手に反応する。
「……やめてください……っ」
「やめるわけねえだろ。……ほら、震えてる」
鹿島は指先でシャツの襟元を掴み、耳の下に軽く触れる。栗山は思わず甘い声を漏らす。
「……あっ……ん、鹿島さん……」
「かわいい声だな、もっと聞かせろ」
挑発的な笑みと低い声。栗山の体は熱く、抑えきれずに背中を反らす。
「……っ、あ……や、やめ……」
「やめろって言うほど興奮するんだよな」
鹿島の手がベルトの上を滑り、腰に触れる。無言で、けれど確実に栗山の体を侵してくる。
目を閉じ、息を荒くする栗山に、鹿島は容赦なく唇を重ね、首筋を舌先でなぞる。
「……くっ……んっ」
反応する体を楽しむように、鹿島は手を下ろしてシャツのボタンを外し、胸に触れる。
「……んっ……あっ……」
栗山の声は甘く、でも悲しげで、鹿島はさらに笑う。
「泣きそうな顔、いいな……」
耳元で囁かれ、指が体を這い回る。栗山は体を震わせながら、無意識に鹿島の肩に抱きついた。
唇で胸を吸い、指先で下腹部に触れる。栗山の体は全身が火照り、息が上がる。
「……鹿島さん……っ、い、いや……」
「いやじゃねえだろ。感じてるだろ」
否定する声も届かず、鹿島は強引に身体を求める。
夜は深く、静かな部屋に二人の声と体の反応だけが響いた。
栗山は甘く震え、涙をこぼしながらも鹿島から離れられず、体を預けるしかなかった。
鹿島はそんな一途な後輩を、楽しむように、しかし容赦なく責め続ける。
――夜が明けるころ、栗山はぐったりと床に伏せたまま、けれど心のどこかで確かな安心を覚えていた。
鹿島はソファに戻り、空のグラスを握ったまま、満足げに吐息をつく。
「……俺のもんだな」
「……はい……」
泣きながら頷く栗山を、鹿島は軽く抱き寄せ、口づけを落とした。
甘くはない。けれど、この夜の中で、二人の関係は確かに深まったのだ。
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