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肩で荒く息をしながら床に突っ伏す。痛みも羞恥も、まだ体の奥でじわじわと燃えている。自分の手も舌も、顔も、まるで自分じゃない何かにされてしまったみたいだ。
――なんで、俺はいつも……。
信じたのに、椿は笑って、他の奴らは嗤って、俺を弄んだ。俺は……友達だと思ったのに、ただの道具だった。手を動かすことしかできなかった。顔を床に押しつけ、舌で擦ることしかできなかった。
――俺は、何にもできない。
――ちゃんとできると思ったのに、結局……雑巾扱いされるだけ。
胸の奥に自己否定が渦巻く。幼いころからずっと、この感覚は消えない。家でも学校でも、俺の居場所なんてなかった。なのに、椿……お前だけは違うって信じたのに、信じたのに……。
指先で床の埃を触れながら、ふと涙が滲む。悔しいとか、悲しいとか、そんな言葉じゃ足りない。自分の存在そのものが軽すぎて、身体の端から心の隅まで、全部が虚ろになる。
――俺なんか、いなくてもいいんだ。
――俺なんか、存在する価値ないんだ。
頭の中で声が何度も反響する。
「雑巾くん、もっと丁寧に」
「顔も舌も床につけろ」
「まだまだ面白いことは続くぞ」
――椿の声も、クラスメイトの嗤い声も、全部自分を責める言葉に変換されてしまう。
顔を伏せたまま、遥は思う。信じたものに裏切られる痛み。自分の必死さが、ただの笑いものになって消えていく痛さ。――体も心も、もう誰のものでもなく、ただ傷つけられるためだけにあるかのような感覚。
――俺って、やっぱり……ダメなやつなんだ。
――何しても、どうせ踏みにじられるだけなんだ。
涙と嗚咽を必死で押さえ、遥は静かに床に沈む。誰も助けてくれない。信じるものを間違えた代償は、痛々しく、残酷に、心の奥まで刻まれた。