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蓮司の相談室2

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蓮司の相談室2

51 - 第51話 “休んでいいよ”と言われても、どう休めばいいかわからない

2025年11月24日

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放課後の相談室は、いつもどおり静かだった。

ノックの音はやけに控えめで、蓮司は机の上のペンを転がしながら「どうぞ」とだけ言った。


入ってきたのは、制服の肩が少し落ちている男子生徒。

座る前から、疲れた空気がまとわりついている。


「……その、休んでいいって言われても……どうしていいのかわかんなくて」


絞るような声。

蓮司は足を組み替え、何の感情も乗せずに問い返す。


「で? 休む気はあるの?」


生徒は一瞬、息をのみ、うつむいた。


「……たぶん、ある。でも……怖い。休んだら、戻れなくなりそうで」


「戻れないほど頑張ってたって話?」


蓮司の声はやわらかでも優しくもない。

ただ、淡々と事実をなぞるだけだ。


生徒は指を握りしめ、震える声で続ける。


「最近ずっと、頭がぐちゃぐちゃで……。

“休み方”を忘れたっていうか、止まり方がわかんなくて。

止まったら自分が壊れそうで……」


「壊れてんのに走ってるほうが危ないけどね」


蓮司はため息もつかず、まっすぐ言った。


「“休んでいいよ”って言葉で困るのは、

本当はずっと前から休めなかった証拠だよ。

止まれないんじゃなくて──止まらせてもらえなかっただけ」


生徒は顔を上げる。

蓮司の瞳は温度が低いのに、不思議と逃げ場がない。


「休み方がわかんないんじゃなくてさ。

“休んでいい自分”を許せてないだけだよ」


その言葉に、生徒の肩がわずかに震えた。


蓮司は椅子の背に体を預け、飄々とした調子で言い足す。


「ほら、ここ来れたじゃん。

休み方がわかんない奴ってさ、相談室のドア開けるのも無理だから。

──たぶん、もう止まっていい段階に来てるよ」


生徒はようやく息を吐き、張りつめていた指の力を抜いた。

その音まで聞こえそうな静けさの中で、蓮司はひとこと。


「疲れてんの、隠すのやめなよ。バレバレだから」


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