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そして、沙夜が梨花たち秘書室の同僚を招いた日がついに訪れた。
この日、家政婦の山下は来客用の料理作りに腕を振るっていた。
テーブルには、ちょっとしたパーティーが開けるほどの豪華な料理がずらりと並び、沙夜は感動のあまり山下に深く礼を述べた。
「山下さん、こんなに素敵なお料理を用意してくださってありがとう。みんな、きっと喜びます」
「お気に召していただいたなら何よりです。パーティーの最中に坊ちゃんがぐずったら、私がお世話しますので、遠慮なくお申し付けくださいね」
「助かります。本当に何から何までありがとう」
沙夜は、この家に来て以来、山下のきめ細やかなサポートに心から感謝していた。
妊娠中はもちろん、彗を産んでからも、山下の支えがなければこんなに早く回復できなかっただろう。
今では、山下は家族の一員のような存在だ。
だからこそ、今日のパーティーにも参加してほしいと伝えていた。
そのとき、書斎で仕事をしていた司がリビングに入ってきた。
「おっ、美味しそうな料理がいっぱいだね」
「山下さんが一生懸命作ってくれたの。どれも美味しそうでしょ?」
「うん。ちょっと味見してみようかな……」
司がローストビーフに手を伸ばした瞬間、キッチンから山下が声をかける。
「旦那様、お味見用はこちらにございます。どうぞ」
「お、そっちか。ありがとう」
司は嬉しそうにキッチンへ向かった。
今日の司は、どこか新鮮だった。
細身のジーンズに黒のポロシャツ。ゴルフ焼けした肌に黒がよく映え、普段はスーツに隠れている筋肉質の体形が際立つ。
洗い立ての髪は自然におろされ、額にかかる前髪が妙に色っぽい。
毎日見ている沙夜でさえ、思わずどきりとしてしまうほどワイルドな魅力があった。
(スーツ姿しか知らないみんなには、きっと違った印象に見えるかも)
沙夜は、こんなにも素敵な夫を自分だけの目に閉じ込めておきたい衝動に駆られたが、すぐに思い直す。
(司さんと私が仲良くしていれば、梨花ちゃんも変な考えを起こさないはず。今日は思いっきり仲のいい夫婦を演じないと……)
そう思ったものの、演じる必要などどこにもなかった。
司は普段から誠実で、二人は自然体でも十分に仲睦まじい。
沙夜は胸の奥の緊張をほどくように、深く息を吸った。
約束の時間になると、インターホンが鳴った。
梨花たちが到着したようだ。
沙夜は応答してから玄関へ向かう。その後ろには、彗を抱いた司がついてきた。
タワマンの最上階まで上がってきた梨花たちが玄関に着き、再びインターホンが鳴る。
沙夜はすぐに扉を開けた。
「いらっしゃい」
「こんにちは~!」
「お邪魔しま~す」
「今日はお招きありがとうございます」
「沙夜さん、お元気そうでよかった~」
今日のメンバーは、後輩の梨花、先輩の宇佐美、そして秘書室の元同僚二名の計四名だった。
そのうちの一人が、沙夜の後ろにいる彗に気づき、声を上げる。
「わあっ、可愛い~!」
その声につられて他の三人も彗に笑顔を向けた。
「皆さん、本日はようこそ」
司が柔らかい笑みを浮かべて挨拶をすると、四人は一瞬頬を赤らめ、思わず見とれてしまう。
宇佐美が慌てて姿勢を正し、挨拶を返した。
「今日は大勢で押しかけてすみません」
「いえ、結婚式ではいろいろとありがとうございました。今日はどうぞゆっくりしていってくださいね」
「「「ありがとうございます」」」
女性たちは元気よく返事をし、沙夜の案内でリビングへ向かった。
リビングに入った瞬間、四人は息を呑んだ。
広々とした空間、高価な家具、一面ガラス張りの窓から見える高層階の景色。
思わずため息がこぼれる。
「沙夜さん、すごーい! 毎日、こんな景色を見てるの?」
「うわぁ、ホテルみたい。素敵~!」
「イケメンの旦那様に可愛い赤ちゃん! 何もかもが揃っていて、理想の家庭だわ」
女性たちは口々に感嘆の声を上げる。
しかし、梨花だけは面白くなさそうに黙り込んでいた。
沙夜はその表情に気づいたが、あえて触れず、キッチンにいる山下を呼んで紹介した。
「こちらはお手伝いの山下さん。今日のお料理を作ってくださったの」
「初めまして、山下と申します。お料理、皆様のお口に合うといいんですけど……」
テーブルの料理に気づいた宇佐美が、感激したように声を上げる。
「まあ、なんて美味しそう! こんなに気を遣っていただいてすみません」
宇佐美が山下と司に向かって頭を下げると、司が穏やかに言った。
「いえ、沙夜の大事な同僚の方たちですから……」
「沙夜ちゃん、ほんと素敵な旦那様で良かったわね!」
「はい……」
「あ~、私も結婚したくなっちゃった~」
秘書の一人が言うと、もう一人がたしなめるように言った。
「沙夜さんのご主人みたいに完璧な旦那様なんて、そうそういないわよ」
「やっぱりそうよね~」
リビングが笑いに包まれる。
そこで、山下が声をかけた。
「さあさあ、お昼も過ぎましたし、お腹空いたでしょう。どうぞ召し上がってください」
「ありがとうございまーす」
「それでは遠慮なく」
「うわあ、どれも美味しそう!」
「飲み物は何になさいますか?」
山下がすべて取り仕切ってくれるので、沙夜は微笑みながら皆の様子を見守るだけでよかった。
そこへ、司の携帯に仕事の電話が入る。
司は彗を沙夜に渡した。
「向こうで話してくるよ」
「はい……」
沙夜は微笑んで息子を受け取ると、司をそっと見送った。
その仕草は、どこからどう見ても互いを思いやる夫婦そのものだった。
そんな二人を、梨花は冷ややかな目で見つめていた。
しかし、同僚の一人に声をかけられ、はっと我に返る。
「梨花ちゃんは何飲む?」
「じゃあ、赤ワインで……」
「赤ね、オッケー」
同僚がグラスにワインを注ぐ様子を眺めながら、梨花は作り笑いを浮かべて沙夜の方へ視線を向けた。
沙夜の隣には宇佐美が座り、彗の愛らしい顔を覗き込んでいる。
その穏やかな光景を見つめながら、梨花の胸の奥で黒い感情が静かに膨らんでいく。
(絶対に潰してやる……あの女の幸せな家庭を、この手で壊してやる……)
同僚が差し出した赤ワインを受け取ると、梨花は何のためらいもなく、ぐいっと一気に飲み干した。
コメント
22件
梨花ちゃんどうしてそこまで沙夜ちゃんを憎むの❓ 自力でメガバンクの秘書になったのなら自分に自信を持てば良いのに 道を間違えると最後は自分が酷い目をみるのに この完璧な司さんと沙夜ちゃん夫婦では倍返しの反撃を喰らうと思うけどな
またまた…すいません🙇♀️🙏 心配で25話を見直したら やっぱり名前間違えてました😞 村上さんじゃなく今村さんでした 本当に申し訳ございません🙇♀️😭 穴があったら入りたいです😥😢 何度もごめんなさい😖🙏🏻 猛省します(_ _*)反省中・・・
マリコ先生…みなさん ごめんなさい😖🙏🏻 わたし…また、やらかしました😅😂🤣 CFOの今村さんを村上さんと名前を 間違えましたぁー本当に申し訳ございません(ᐡ ̳ᴗ ᴗ)💦 おっちょこちょい😭なんです 恥ずかしい…(,,> <,,) こんなわたし(ソラ)ですが マリコ先生…みなさん キライにならないで下さいね😫 よろしくお願いしますm(_ _)m
管野アリオ
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#執着
猫とろ
628
瑠璃マリコ
35,832
桃下結衣
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