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相談者は椅子に座ってすぐ言った。
「二人の時は普通なんですよ」
蓮司は頷く。
「誰と」
「友達」
「でも?」
「クラスだと冷たい」
沈黙。
「具体的に」
相談者は少し考える。
「二人で帰るとき」
「うん」
「普通に話す。笑う」
「うん」
「でも、クラス入ると」
「うん」
「話さない」
机を見る。
「目も合わない」
「話しかけても?」
「軽く流される」
蓮司は少し首を傾ける。
「それいつから」
「最初から」
「怒ってる感じ?」
「違う」
「嫌ってる感じ?」
「違う」
「じゃあ」
相談者は小さく言う。
「周りいると変わる」
沈黙。
「よくある」
蓮司が言う。
相談者は顔を上げる。
「マジで?」
「かなり」
「なんで」
「役割」
相談者は眉をひそめる。
「役割?」
「集団の中のポジション」
蓮司は続ける。
「二人の関係と」
「うん」
「グループの関係は別」
相談者は黙る。
「例えば」
蓮司が言う。
「二人なら対等」
「うん」
「でもグループだと」
「うん」
「上下とか空気とかある」
相談者は考える。
「……あ」
「思い当たる?」
「そいつ」
「うん」
「グループの中心に近い」
「なるほど」
「俺は外側」
少し沈黙。
「じゃあ」
相談者は言う。
「俺のこと嫌いじゃない?」
「たぶん違う」
「でも冷たい」
「グループの中ではな」
相談者は苦笑する。
「器用だな」
「むしろ」
蓮司は言う。
「不器用」
「え?」
「両方守ろうとしてる」
相談者は黙る。
「グループの空気」
「うん」
「お前との関係」
「うん」
「だから」
「?」
「場所で態度変える」
相談者は天井を見る。
「なんか」
「うん」
「都合いい感じする」
「するな」
沈黙。
「ムカつく?」
蓮司が聞く。
「少し」
相談者は笑う。
「でも」
「うん」
「二人の時は普通なんだよ」
静かになる。
「じゃあ聞く」
蓮司が言う。
「その友達」
「うん」
「グループいなかったら?」
相談者は少し考える。
「たぶん」
「うん」
「普通に仲いい」
「だろうな」
沈黙。
「人って」
蓮司は言う。
「一対一だと優しい」
「うん」
「集団だと弱くなる」
相談者は苦笑する。
「弱いのか」
「弱い」
少し間。
「じゃあ」
相談者は言う。
「どうすればいい」
「二人の関係を基準にしろ」
「え」
「グループの態度を本音だと思うな」
相談者は黙る。
「どっちが本当?」
「二人の方」
少し沈黙。
相談者は立ち上がる。
「なんか」
「うん」
「人って面倒だな」
ドアの前で振り返る。
「でも」
「うん」
「二人の時は嫌いじゃない」
蓮司は頷く。
人は、
一対一と集団で
別の顔を持つことがある。
それは必ずしも嘘ではなく、
ただ弱さだったりする。