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※こっちは明るめに調整。鵜呑みにしないでくだされ汗
放課後の教室、夕日がカーテンの端をオレンジに染めている。
机に腰かけた彼女は、いきなり深刻そうな顔で言った。
「……どうしよう。好きな人の前で、盛大にくしゃみした」
蓮司は瞬きもせず、ペットボトルの水を飲む。
「それはもう告白と同じくらいの破壊力だな」
「やめてください、ほんと恥ずかしいんですから」
「で、そのくしゃみは可愛い系? それとも爆音系?」
「……爆音系です」
「なら大丈夫だ。印象に残るし、下手な話題よりずっと強い」
彼女は呆れた顔で笑った。
「そんなポジティブな解釈あります?」
「あるある。“かわいい”は一瞬で忘れられるけど、“おもしろい”は残る」
蓮司は肩をすくめる。
「恋愛なんて、記憶に残ったもん勝ちだろ」
彼女は少し考えてから、吹き出した。
「じゃあ、次はしゃっくりでもしようかな」
「おう、そのうち漫才コンビ組めそうだな」
「でもさ……あの人、たぶん私のこと“変なやつ”って思ったと思う」
「いいじゃん。変なやつって思われたほうが、普通のやつより印象強い」
「……でも、変なやつって恋愛対象になります?」
蓮司はポケットからガムを取り出し、ゆっくり噛みながら答える。
「なる。むしろ普通すぎるやつは、覚えてすらもらえない」
「……なんか、そう言われると救われますね」
「救われたついでに、次は計画的にやれよ」
「え、なにを?」
「次会うときは、わざと変な行動をひとつ入れる。小さいやつでいい」
蓮司はにやっと笑った。
「そうやって相手の記憶に、自分の居場所を作るんだ」
彼女は半分呆れながらも、半分納得して笑った。
「……やっぱ蓮司くん、恋愛相談に向いてるかも」
「そう? じゃあ、次のくしゃみのタイミングも予約しとくわ」