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高校二年生・仮名:Tさん
人と話しているとき、
自分の話をしていいのか分からなくなります。
相手が話しているときは
聞く側でいればいいので楽です。
でも、
「Tはどう思う?」とか
「Tの話も聞かせてよ」と言われると、
急に困ります。
話していいのか分からないし、
もし話してつまらなかったら
空気が変わる気がして怖いです。
だから
「別に」とか「普通」とか
短く終わらせてしまいます。
自分の話って、
どこまでしていいんでしょうか。
遥
「それな、
“話す権利が自分にあるか”
確認してる感じだな」
蓮司
「聞く側だと安全なんだよな。
リアクションしてれば会話成立するし」
日下部
「Tさんは
“自分の話=場を占有する”
と感じているのかもしれない」
Tさん
「……そうかもしれません」
遥
「で、
つまらなかったらどうしようってなる」
Tさん
「はい」
蓮司
「でもさ、会話って基本“交代制”だぞ」
Tさん
「交代制」
蓮司
「一人が話して、もう一人が話す。
それが普通」
遥
「ずっと聞いてる側だと、逆に相手は
“興味ないのかな”って思うこともある」
Tさんは少し驚いた顔をする。
「そうなんですか」
日下部
「人は
“自分の話ばかりしている”状態を
意外と気にする」
蓮司
「だから“君はどう?”って聞く」
遥
「つまりそれ、順番回ってきてる」
Tさん
「でも、うまく話せなかったら」
遥
「別にいい」
即答だった。
蓮司が笑う。
「会話ってさ、完成度求められてない」
日下部
「雑談は情報交換というより
存在の確認に近い」
Tさん
「存在の確認?」
日下部
「“私はここにいる”
“あなたもいる”
それを言葉でやり取りしている」
遥
「だから面白い話じゃなくてもいい」
蓮司
「むしろ普通の話の方が多い」
Tさんは少し考える。
「でも、自分の話って
出していい範囲が分からないです」
遥
「それはな」
少し考えてから言う。
「最初は浅くでいい」
蓮司
「様子見る感じ」
日下部
「相手がもう少し聞きたそうなら少しだけ深くする」
遥
「それで十分」
Tさんは小さく頷く。
「じゃあ
最初から全部話さなくていいんですね」
蓮司
「むしろ
いきなり全部話す人の方が珍しい」
遥
「会話は少しずつ開くもの」
日下部
「Tさんが
自分の話をしていいか迷うのは
相手を気遣っている証拠でもある」
Tさんは少し笑った。
「そうなんですか」
遥
「ただな」
Tさんを見る。
「遠慮しすぎると、
相手はお前のこと何も分からないままになる」
蓮司
「聞く側ばかりだと
“壁ある人”に見えることもある」
Tさん
「……それは嫌です」
日下部
「なら少しだけ話せばいい」
遥
「長くなくていい」
蓮司
「一言でもいい」
日下部
「それだけで会話は双方向になる」
Tさんは立ち上がる。
ドアの前で振り返る。
「自分の話って」
少し考える。
「していいんですね」
遥
「順番だからな」
蓮司
「お前の番も普通に来る」
日下部
「会話は一人では成立しない」
Tさんは小さく頷いた。
ドアが閉まる。
部屋に静けさが戻る。
蓮司が言う。
「“話していいか分からない”って結構多いな」
遥
「小さい頃、遮られてきた人に多い」
日下部は静かに言う。
「話す許可を 誰かに求める癖が残る」
遥はカップを持ち上げた。
「でも本当は」
少しだけ笑う。
「最初から順番なんだけどな」
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