テラーノベル
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放課後、校門を出た瞬間だった。
「うわ、マジかよ!」
隼人が空を仰いだ。さっきまでの青空が嘘のように、バケツをひっくり返したみたいな雨が一気に降り始めた。
「え、えー!? 俺、傘ない!」
大地が両手を広げて空を見上げる。
「俺も。やべえ、ずぶ濡れ確定コースじゃん」
「とりあえずどこか入ろう!」
柊が冷静に周囲を見回し、指をさした。
「カラオケあるじゃん。あそこなら時間つぶせる」
五人は全力ダッシュでカラオケ店に飛び込む。
フロントで部屋を取ると、萌絵がにやり。
「これは……ライブだね」
「実況案件」
涼も無駄に真剣だ。
「まずは俺が景気づけ!」
マイクを奪った大地がドラムロール的にポーズを決め、イントロが鳴り始める。
……が、一小節目から音程が完全迷子。
「お、おぉぉ?!」
隼人が思わず笑いをこらえきれず、萌絵と涼は肩を震わせる。
「いやいや、芸術は爆発だから!」
大地はノリノリでシャウト。店のスピーカーが悲鳴を上げた。
「爆発しすぎ!」
隼人がツッコミを入れながらも笑顔が止まらない。
「次は俺だな」
隼人が選んだのはしっとり系バラード。
出だしから安定したイケボが響く。
「え、隼人、上手……」
大地がぽかん。
「くっ、公式CPのギャップ萌え!」
萌絵が小声で悶絶する。
「採点95点……完璧」
涼が冷静に点数を読み上げた。
柊はというと、甘い声で恋愛ソングをさらりと歌いこなし、女子顔負けの透明感。
「うわ、これ女子人気爆上がりだろ」
隼人が苦笑。
「甘党王子の甘声、無敵」
涼がメモを取っている。
最後は全員でデュエット大会。
「隼人、パートわかってる?」
「任せろ!」
大地と隼人が肩を組んで大絶叫。
「なんで最後だけ完璧にハモるの!?」
萌絵が笑い泣きする。
「これが……公式の力か……」
涼が神妙にうなずいた。
雨はまだ止まない。
けれど部屋の中は笑い声と拍手で、外の雷さえかき消されていた。
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