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高校三年生・仮名:Sさん
友達と一緒にいても、
どこか他人みたいに感じることがあります。
会話も普通にしますし、
笑ったりもします。
でも時々、
少し引いたところから
その場を見ている感じになります。
「自分だけ外にいる」みたいな感覚です。
仲が悪いわけではないのに、
完全に同じ側にいる感じがしません。
こういう感覚って
おかしいんでしょうか。
遥
「その感覚、分からなくはないな」
蓮司
「会話してるのに
自分だけ観客みたいなやつか」
Sさん
「……そうです」
日下部
「Sさんは
“参加している自分”と
“見ている自分”が
同時にいるのかもしれない」
Sさん
「見ている自分」
遥
「場を楽しんでる自分の横で
もう一人が
“今これやってるな”って見てる」
Sさん
「あります」
蓮司
「それ珍しくないぞ」
Sさんは少し驚く。
「そうなんですか」
日下部
「人は自分を客観視することがある」
遥
「ただ」
少し考える。
「それが強いと
“自分だけ外”に感じる」
Sさん
「はい」
蓮司
「でもさ」
椅子にもたれる。
「完全に外の人ってそもそもそこにいない」
Sさん
「……」
遥
「会話してる時点で中にはいる」
日下部
「ただSさんの意識が一歩引いた場所にある」
Sさんは少し黙る。
「なんでそうなるんでしょう」
蓮司
「癖かもな」
遥
「場の空気とか
人の反応とか
よく見てる人に多い」
日下部
「周囲を観察する力が強い人」
Sさん
「観察」
遥
「周りをよく見てるから
自分も外から見える」
蓮司
「カメラが二台ある感じ」
Sさんは少し笑う。
「そういう感じです」
日下部
「ただ」
少し間。
「その視点は悪いものではない」
遥
「むしろ冷静さになることもある」
蓮司
「空気読むの上手いタイプだろ」
Sさん
「言われます」
遥
「ただ」
少し真面目な声。
「ずっと観客席にいると疲れる」
Sさん
「……はい」
蓮司
「たまにカメラ切ればいい」
Sさん
「カメラ」
遥
「“今は考えなくていい”って自分に言う」
日下部
「完全に消す必要はない」
遥
「でも少しだけ下げる」
蓮司
「ステージにもう少し近づく感じ」
Sさんはゆっくり頷く。
「それならできるかもしれません」
遥
「他人みたいに感じても」
蓮司
「実際はそこにいる」
日下部
「Sさんの席はすでにその場にある」
Sさんは立ち上がる。
ドアの前で言う。
「外にいる感じがしても」
少し考える。
「本当は中にいるんですね」
遥
「たいていな」
蓮司
「自分だけ外判定してること多い」
日下部
「その感覚を否定する必要はない」
静かな声。
「ただ事実と分けて考えていい」
Sさんは小さく頭を下げた。
ドアが閉まる。
蓮司が言う。
「観客モードの人、結構いるな」
遥
「見すぎなんだよな」
日下部は静かに言う。
「見える人ほど距離を感じやすい」