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教室の窓から差し込む夕暮れの光も、俺には関係なかった。背中には昨日の傷が痛く残り、肩も腕も重い。だが岸田はお構いなしに俺を机の上に立たせた。教室にはクラスメイト数人だけでなく、学年を超えた先輩や後輩も加わっていた。
「おい、もっと前かがみになれよ。見えねえとつまんねえだろ」
先輩の声が響き、俺は自然に体を縮めた。背中や腰に重い教科書や鞄を乗せられ、手足を押さえつけられる。動くと誰かが肩や背中を叩く。
「やめ……て……」
声は小さく、震えている。謝るわけじゃない、ただ耐えられないだけだった。
岸田は顔を近づけ、笑みを浮かべながら言う。
「もっと見せろよ、震えろ。お前のその弱さ、最高に面白い」
後輩の一人が俺の足元に何かを落とす。土のついた靴、粉々になった菓子、わざと踏ませて踏ませた跡を見て笑う。俺は無理やりそれを拾わせられ、口元に持っていく。
「う、うっ……」
思わず呻くと、岸田が肩を押し、重さを増す。
「お、声出したな。よし、もっと聞かせろ」
同学年の生徒が机に飛び乗り、俺の肩を押す。均衡を崩した俺は、前にあった椅子に手をつくが、それも後輩に蹴られ、バランスを取ることすらできない。
「どうしてこんなこと……するんだ……」
問いかける声は弱々しく、でも必死さを帯びる。岸田は肩を震わせて笑う。
「嫌いだからだよ。お前がいるだけでイライラする」
さらに別の後輩が俺の背中にカッターを押し付け、顔には定規を突き付ける。教科書や鞄の重みで前屈みになった体を無理やり支えさせられ、周囲の視線が痛い。
「……もう……無理……」
必死に声を出すと、先輩が腕を掴み、後ろに引っ張る。痛みで思わず足を踏み外すと、岸田が机を押してさらに不安定にさせる。
「おいおい、危なっかしいな。自分でバランス取れないのか?」
言葉の端に笑いが含まれる。俺は縮こまり、耐えるしかなかった。
「お願い……やめ……て……」
今度は声に切羽詰まった必死さがにじむ。岸田は顎で他の生徒を合図し、俺の肩に本を落とさせる。重さに耐えつつ、屈辱の視線を全員に晒される。
さらに先輩が後ろから足をかけ、俺を押し倒そうとする。体勢を崩しても、誰も助けはしない。岸田の笑みだけが、精神をえぐる。
「震えろよ。もっと見せろ。お前の弱さ、たっぷり味わわせてもらう」
俺は縮こまりながら、震え、声を零すしかなかった。耐えること、立つこと、声を出すこと、すべてが屈辱になって重くのしかかる。教室中に散らばった視線、笑い声、指示の声、すべてが俺を追い詰める。