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放課後。
教室は半分空いてるのに、ざわつきだけ残ってる。
生徒はドアの近くで立ったまま。
「嫌われるより、きついのあるんですよ」
遥は窓の方を見ている。
「何」
短く。
「どうでもいい人扱い」
間。
「話しかけられないし呼ばれないしいてもいなくても変わらない」
一拍。
「存在が、雑になる感じ」
遥は振り向かない。
「それ、気づくのが一番遅いんですよね」
生徒は続ける。
「嫌われてるならまだ分かるんですけど
これは」
少し詰まる。
「分からないまま進む」
沈黙。
「気づいた時には」
一拍。
「もう入れない位置にいる」
教室の空気が少し重くなる。
遥はようやく口を開く。
「それは」
短く。
「相手の問題じゃない」
生徒はすぐ反応する。
「え?」
「扱いの話だ」
一拍。
「人の価値じゃない」
生徒は眉を寄せる。
「でも実際そう扱われてるなら同じじゃないですか」
遥は首を振らない。
「違う」
短く。
「“どうでもいい”は」
一拍。
「判断じゃなくて省略だ」
生徒は止まる。
「……省略?」
遥は机に手を置く。
「考えるコストを下げてるだけ」
静かに言う。
「興味がない。深く見てない」
一拍。
「だから雑になる」
生徒は黙る。
「それを」
遥は続ける。
「“自分の価値”に変換するな」
教室が静まる。
「でも」
生徒は言う。
「そう感じるじゃないですか」
一拍。
「扱われ方って、普通に影響するし」
遥は即答しない。
少し間を置く。
「影響はする」
短く。
「でも」
視線だけ向ける。
「意味は別だ」
生徒は言葉を止める。
「扱い=評価じゃない」
一拍。
「雑に扱われてる時点で雑な判断されてるのは事実」
生徒は小さく頷く。
「でもそれは」
遥は続ける。
「“ちゃんと見られてない”って意味でしかない」
沈黙。
「価値がないって証明にはならない」
教室の外で足音が通る。
「……じゃあ」
生徒は少し低く言う。
「どうすればいいですか」
遥は少しだけ考える。
「その位置のまま」
一拍。
「見返そうとするな」
生徒は眉をひそめる
「え」
「“気づかせる”って発想を捨てろ」
短く。
「相手に理解させようとすると」
一拍。
「ずっとその枠に縛られる」
沈黙。
「どうでもいい枠の中で評価を上げようとする動きになる」
生徒は黙る。
「それ」
小さく。
「ずっとやってたかも」
遥は続ける。
「無駄ではないけど」
一拍。
「効率は悪い」
教室の空気が少し緩む。
「じゃあ」
生徒は言う。
「何すればいいんですか」
遥は短く答える。
「枠を変えろ」
一拍。
「評価じゃなくて関わり方を」
生徒は理解しきれない顔をする。
「どういう」
遥は机を指で叩く。
「その場所での役割を増やすな」
短く。
「別の場所で」
一拍。
「別の役割を持て」
沈黙。
「ここでどうでもいいなら別のところでどうでもよくなくなる」
生徒はゆっくり息を吐く。
「……そっちか」
小さく。
「この中でどうにかしようとしてました」
遥は何も言わない。
「だから」
一拍。
「ずっと同じだったんだ」
教室が静かになる。
「……分かりました」
生徒は鞄を持つ。
「ここはそのままでいいんですね」
遥は短く言う。
「無理に意味を足すな」
生徒はドアの方へ向かう。
「別で作ります」
小さく。
振り返らずに出ていく。
残った教室は、さっきと同じ広さなのに、 少しだけ距離の測り方が変わっていた。
“どうでもいい”は判決じゃない。
ただの、見てないだけだ。
奈 ウ .