テラーノベル
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ドアが開く。
「……失礼します」
「どうぞ」
生徒は入ってきて座る。
座ってからも、しばらく視線が落ちたまま。
「なんか」
小さく声が出る。
「教室で一人になる瞬間、めっちゃ怖くて」
日下部は目を向ける。
「休み時間とか」
「うん」
「みんな移動したり、誰かと喋ってるのに」
少し間。
「自分だけ席いると、急に居づらくなるんです」
短く息を吐く。
「スマホ見たりして誤魔化すんですけど、“一人なんだ”って見られてる気がして」
「“孤立して見えること”が怖いんだな」
日下部は言う。
生徒は小さく頷く。
「……はい」
「別に、一人でいること自体は平気なときもあるんです。でも教室だと無理で」
「周りと比較されやすい場所だから」
短く言う。
「人数多い空間ほど、“誰といるか”が見える」
生徒は黙る。
「特に昼休みとか最悪です」
少し苦笑する。
「みんな机くっつけ始めるじゃないですか」
日下部は小さく頷く。
「で、自分だけ動いてないと」
「“残った感”出る」
短く言う。
生徒は止まる。
「……それです。じゃあ、どうしたらいいですか」
日下部は少し間を置く。
「“一人=負け”って結びすぎない」
生徒は少し困った顔をする。
「でも、実際そう見えません?」
「見える瞬間はある」
はっきり言う。
「中高って特に、“群れてる方が安全”な空気あるから」
生徒は黙る。
「ただ」
日下部は続ける。
「周りは、自分が思うほど見続けてない」
「……え」
「一瞬見ることはある」
短く言う。
「でも、そのあと各自自分のことで動いてる」
生徒は視線を落とす。
「自分だけ、ずっと気にしてました」
「あと」
「はい」
「“一人を隠そう”としすぎると、余計苦しくなる」
生徒は止まる。
「スマホずっと見てるとか、寝たフリするとか、“誤魔化し続けるモード”になるから疲れる」
生徒は苦笑する。
「……全部やってます」
「だから、“普通に一人でいる時間”を少し作る」
短く言う。
#読み切り
「水飲むとか、プリント見るとか。小さいことでいい」
生徒は少し考える。
「……一人なの隠すことばっか考えてました」
「バレないようにするほど、意識がそこ固定される」
短く返る。
生徒は立ち上がる。
ドアの前で止まる。
「教室って、家より全然疲れます」
「常に“見え方”入る場所だからな」
短く返る。
ドアが閉まる。
教室で一人になる怖さは、孤独そのものより、“どう見られるか”の圧力に近い。
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