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昼休みの教室。隼人は机に肘をつき、大地の顔をじーっと見つめていた。
 (昨日、涼と話してあれだけスッキリしたはずなのに……何でまたモヤるんだ俺)
 大地が気付いて首をかしげる。
 「……なに? オレ、顔にごはん粒ついてる?」
 「いや。……べつに」
 「なんだよ〜。またツン期?」
 大地がケラケラ笑い、周りのクラスメイトもつられて笑う。
 萌絵がすかさず実況モードに突入。
 「はいはい始まりました~隼人大地の言わないゲーム!」
 涼も淡々とノートを閉じて相槌を打つ。
 「隼人の“拗ね”フェーズ、記録更新だな」
 「お前ら、うるさい」
 隼人は軽く眉をひそめるが、耳まで赤い。
 そこへ柊がのんびり登場。
 「お、今日もラブラブだな」
 「ラブラブじゃねえ!」隼人が即ツッコミ。
「ラブラブじゃねえ!」大地もなぜかハモる。
 教室がどっと沸く中、萌絵が小声で涼にささやく。
 「……ツンとデレの混合期きた」
 「同時発症だな」
 隼人は心の中でため息。
 (ほんとは昨日、涼に言われた通り素直に話すつもりだったのに……
目の前の大地はいつも通りで、俺だけ空回ってる)
 そんな隼人の胸のざわつきをよそに、大地が元気に手を挙げた。
 「じゃあ、今日の放課後は一緒に帰ろうぜ!」
 隼人は一瞬、言葉を飲み込み――
 「……ああ、仕方ねぇな」
 その顔は、いつものニヤリ顔より少しだけ柔らかかった。