二人はソファーへ腰を下ろすとビールで乾杯した。
「鬼退治終了! そしてカフェオープンへ向けてカンパーイ!」
俊の掛け声に雪子は笑いながらグラスをカチンとぶつけた。
それからは買って来たオードブルやチーズをつまみに楽しく会話をしながら飲み始める。
「このサーモンのマリネ凄く美味しい」
「あそこのスーパーは美味しい総菜が多いから独り者には助かるよ」
そこで雪子は気になっていた事を聞く。
「前にうちのスーパーで食材を買って行きましたよね? もしかして俊さんはお料理が上手なのでは?」
「まあ基本的な物は作れるけれど凝ったのは作れないよ」
「えっ? そうなの? てっきりシェフ並みかと思っていました」
「ハハハ仕事柄良く言われるけれど俺は料理人じゃなくてプロデューサーだからね。ただ仕事柄料理人と話す機会が多いからたまに教わる事もあるけれどね」
「へぇープロから習うって凄い」
俊はビールを飲み終えたのでワインを開ける。ワインは白だ。俊はワインを雪子にも注いでくれた。
そこで俊は急に何かを思い出して立ち上がると「ちょっと待ってて」と言ってリビングを出て行った。
雪子はどうしたのだろうと思いながらビールを飲み干した後ワイングラスを手にした。
そこへ俊がA4サイズの用紙を手にして戻って来た。
「酔う前に渡しておかないとね。もしカフェを開くとしたら大体予算がいくらくらいかかるかをざっと計算してみた。リフォームから開店資金に至るまでね。合計は右下に記載してある」
俊は書類を雪子へ渡す。
そこには細かい見積もりが記載されていた。リフォームに関する金額、開店準備に必要な資金や許可申請手数料等全ての金額が書かれていた。
それ以外に、店をオープンした際の当初の売り上げ見込みや光熱費や備品にかかる費用など、雪子が思いつかなかった事についてまで細かく記載されている。
「凄い。こんなに詳細に?」
「うん。念には念を入れておかないとね」
雪子は驚きながら一つ一つの数字を目で追った。そして最後に右下に書いてある合計金額を見てから言った。
「予定していた予算よりも少なく収まってるわ」
「予算内なら良かった。まあ最初から無理してあれこれ手を広げるよりもシンプルに始めて余裕が出来た後付け足した方がいいって真田夫妻も言ってたからね」
「私もそう思います。借金してーとか高価な厨房器具類を入れてーってなると上手くいかなかった時の損失が大きいですから。でもこの金額ならなんとかなるかも」
「工事の件はここをやってくれた大工さんに頼めば多分もっと安くしてくれると思うよ。もし決心したら頼んであげるよ」
「ありがとうございます。工事関係はツテがある業者の方がいいと思うのでお願いするかもしれません」
「その大工は良さんって言うんだけれどずっと鎌倉でやって来た方だから信頼出来るし何よりもセンスがいいんだよ。その棚も良さんが造ったんだ」
俊はそう言って鉱物類が飾ってある棚指差した。それを見て雪子が頷く。
そこで俊が話題を変えた。
「お酒は飲める方?」
「うーん弱くはないですが強いっていう訳でもないかな? 俊さんは?」
「若い頃は結構飲んでいたけれど今は雰囲気を楽しむくらいがちょうどいいかな? 今までは外に飲みに行ったりはしなかったの?」
「デパート時代は歓迎会とか送別会とか、あとはたまに同僚と飲みに行ったりもしましたけれど回数はそんなには。今は時々優子と居酒屋に行ったりはしますが」
「家でも?」
「和真が帰って来たら少し飲みますが普段は一人だから飲んでもノンアルが多いですね」
俊は想像通りの答えに頷く。雪子は子供の為に今まで真面目に母親業をしてきたのだ。
俊の業界にもバツイチ子持ちの女性は沢山いた。その誰もが夜は飲み歩いたりかなり羽目を外して遊んでいた。
しかし雪子はそういう生活とは無縁で来たのだ。
俊は頑張ってきた雪子の事を思いっきり甘えさせてあげたいような気持になる。
楽しい会話をしているとどんどんワインが進む。気づくと雪子はフワフワと気持ちの良い感覚に包まれていた。
飲むばかりじゃなく何か食べなくてはと、まだ沢山残っているオードブルへ手を伸ばした。その瞬間身体がグラッと揺れる。
咄嗟に俊が雪子を抱きすくめた。
「あっ、ごめんなさい、なんか少し酔ってしまったかも」
雪子が俊の腕から離れようとした瞬間、俊の唇が雪子の唇を塞いだ。
フワフワした感覚のままされるキスはなんと心地良いのだろう。雪子は思わずうっとりする。
思ってる以上に自分は酔っているのかもしれないと雪子は思った。
なぜならいつものような恥ずかしさはなくむしろいつまでもこうしていたいと思っていたからだ。
雪子が抵抗しないので俊のキスはますます激しくなる。
その激しいキスはずっと眠っていた雪子の『女』の部分を急速に目覚めさせた。
身体の奥底から湧き上がってくるこの疼きはなんだろうか? こんな感覚は久しぶりだ。
雪子はたまらず、
「んっっ……」
艶めかしい吐息を漏らした。
その色気に満ちた声に刺激を受けた俊のキスはますますエスカレートする。
二人のリップ音が生々しくリビングに響き渡る。その音は更に二人の興奮を搔き立てる。
気づくと雪子はソファーに押し倒されていた。背中に当たる柔らかな感触が心地良い。
俊の唇は雪子の唇を離れたあと、今度は耳を這い回り時折耳たぶを軽く噛んだり舌でいじったりと焦らすように動き回る
そしてとうとう舌が耳の中を攻め始めた。その途端に雪子の身体にゾワッと鳥肌が立つ。
チュッ チュパッ
俊が唇は雪子の耳から首筋、そして喉元へと移動する。そして舌先で首筋をツーッとなぞった瞬間とうとう我慢しきれなくなった雪子の喘ぎ声が漏れ始めた。
「はぁっ…….んっぅ…….」
変な声を出さないようにと頑張ってみても勝手に声が漏れてしまう。
まるで自分の声じゃないような音が勝手に口をついて出る。
すると俊が大胆に動き始めた。
雪子の胸の上を俊の両手が這い回る。
ニットワンピースを着た雪子の乳房を優しくさするように撫で回している。
乳房全体を包み込むようにサワサワと手のひらを動かしたかと思うと今度は先端に刺激を与える。
服に阻まれているはずなのに雪子は俊の手の感触を敏感に感じ取っていた。
雪子は感じやすい体質だった。俊はその事に気付くと嬉しそうに笑みを浮かべる。
そして今度は右手でワンピースの裾を捲り上げると両腿の間に右手を滑らせていった。
ストッキング越しに撫でられているのに直接触られているかのように感じる。そしてまた雪子に鳥肌が立つ。
(なんて絶妙な力加減なの…おかしくなりそう。この人は女性の身体を知り尽くしているわ)
ボーッとする頭で雪子はそう感じていた。
俊の愛撫を受けながら雪子は俊之とのセックスを思い出していた。
俊之の愛撫は俊とは違いどちらかというと大雑把で雑な行為だった。俊のように女性を知り尽くし女性を悦ばせようという気持ちはなくいつもお決まりのパターンで時間も短めだった。
だから雪子は男女の行為で本当の悦びを感じた事はない。もちろん満足した事もない。
俊之だけが気持ち良くなるセックスしかした事がなかった雪子は、こんなにも丁寧な愛撫を受けて正直驚いていた。
これが本当のセックスなのだ。これが本当に愛し合うという行為なのだ。
女性の身体をとろけさせるような俊の手の動き。女性が感じる部分を全て知り尽くしている俊の唇。
こんな愛撫がずっと続いたらおそらく雪子の方から俊を求めてしまうのではないか? そう思えてしまうほどのすばらしい快感を雪子は次々と与えられていた。
その時俊が雪子の耳元で囁いた。
「このまま先に進んでもいい?」
「ふ…ぅんっ…….」
雪子は声にならない声を上げながら軽く頷いた。
すると許可を得た俊の指は雪子の小さな丘の上を擦るように小刻みに動き始めた。
コメント
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俊さんの女性の体を知り尽くした50代後半のテクニックと、50歳ながら元夫の雑な行為しか知らなかった雪子さん… スタートのキス👩❤️💋👩から高揚感に包まれて俊さんの絶妙なテクニックに翻弄されまくりで💕💕 心から「もっとしてほしい…」と思っちゃう雪子さんの気持ちは俊さんだからこそ✨💕 この素晴らしい一夜を思う存分ドキドキ💓して愛し愛され尽くしてください🥰🥰🥰
50代同士とは思えない この初々しさとドキドキ感....💖 大切に愛された経験が 今まで無かった雪子さん。 俊さんと素敵な夜をすごし、心も身体も 女性として 愛される喜びを 感じることができますように....✨
はぁ〜なんだろうこの感情は… 女として俊さんの愛を一身に受け、雪子さんにとってこれ以上のない甘い時間となって欲しい☆.˖٭ ただそれだけ…