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高校二年生・仮名:Rさん
自分の性格がよく分かりません。
友達の前では明るいと言われますが、
家ではかなり静かです。
人によって態度も変わるし、
どれが本当の自分なのか
分からなくなります。
「優しいね」と言われることもあれば、
「冷たい」と言われることもあります。
自分では、
どっちも当てはまる気がします。
性格って
一つじゃないといけないんでしょうか。
遥
「いい質問だな」
蓮司
「わりと根本系」
日下部
「“自分とは何か”の話に近い」
Rさん
「そんな大げさな……」
遥
「でも割とそう」
少し椅子に体重を預ける。
「まず結論」
Rさんを見る。
「性格は一つじゃない」
Rさん
「そうなんですか」
蓮司
「人によって変わるの普通」
Rさん
「でも」
少し迷う。
「それって
“作ってる自分”じゃないんですか」
遥
「作ってる部分はある」
蓮司
「全員ある」
Rさん
「全員」
日下部
「人は状況に合わせて振る舞いを変える」
Rさん
「それが普通なんですか」
遥
「むしろ変わらない方が珍しい」
蓮司
「例えば」
指を折る。
「先生の前、友達の前、家族の前」
少し笑う。
「全部同じやつあんまりいない」
Rさん
「確かに」
遥
「それを“偽物”って考えると」
少し間。
「自分が何人もいる感じになる」
Rさん
「……はい」
日下部
「しかし、それは“偽物”ではない」
Rさん
「じゃあ」
遥
「“側面”」
蓮司
「角度」
Rさん
「角度」
遥
「同じ人間でも見る場所で違って見える」
蓮司
「サイコロみたいなもん」
Rさんは少し笑う。
「六面体ですか」
蓮司
「もっと多い」
遥
「むしろ面だらけ」
Rさん
「じゃあ」
少し考える。
「明るい自分も静かな自分も
両方本当ですか」
遥
「たぶんな」
日下部
「どちらもRさんの一部」
Rさん
「でも」
視線を落とす。
「自分がどんな人なのか説明できません」
蓮司
「それ普通」
Rさん
「普通ですか」
遥
「性格って」
少しゆっくり言う。
「説明するものじゃなくて積み重なるもの」
Rさん
「積み重なる」
日下部
「日々の選択、反応、行動」
静かな声。
「それらの集合が“性格”と呼ばれる」
Rさんは黙る。
「じゃあ」
少し考える。
「まだ分からなくてもいいんですか」
遥
「むしろ」
少し笑う。
「高校生で完全に分かってる人の方が珍しい」
蓮司
「大人でもわりと分かってない」
Rさん
「そうなんですね」
日下部
「人は時間と経験で自分を知っていく」
Rさん
「経験」
遥
「あと」
少し言葉を選ぶ。
「他人の反応」
Rさん
「反応」
蓮司
「優しいって言われたり
冷たいって言われたり」
肩をすくめる。
「両方材料」
Rさんは少し笑う。
「じゃあ、混ざってるのが普通なんですね」
遥
「だいたいそう」
蓮司
「人間、単色じゃない」
日下部
「矛盾している部分も含めて一人の人間」
Rさんは立ち上がる。
ドアの前で止まる。
「自分の性格が分からないって」
少し考える。
「変だと思ってました」
遥
「むしろ普通」
蓮司
「考えてるだけちゃんとしてる」
日下部
「自分を疑問に思うことは
自己理解の始まりでもある」
Rさんは小さく頷いた。
ドアが閉まる。
蓮司が言う。
「“本当の自分探し”ってよく聞くよな」
遥
「探すもんじゃない気がする」
日下部は静かに言う。
「人は」
少し間。
「生きながら少しずつ自分を作っていく」