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休日の午後、しとしと降る雨に誘われるように、いつもの五人は大地の家に集まった。

テーブルいっぱいに広がったのは、カードゲームや戦略系、運試しのすごろくなど、棚から総動員されたボードゲーム。窓を打つ雨音が、いつもの笑い声をより鮮やかに響かせていた。


最初はチーム戦。隼人と大地がペアになると、その息の合いようは驚くほどだ。


「お前、今のカード読めてただろ」


「当然。オレとお前だぞ」


二人は得意げに手を叩き合い、連勝を重ねていく。ところが勝利目前、作戦の食い違いで突然の言い争い。


「だから言っただろ、こっちのルートだって!」


「いや、絶対オレのほうが正しい!」


声を張り上げ、まるで雷鳴のように響く。


その様子を、萌絵と涼が見逃すはずもない。


「いまの目線合わせ、ポイント高いな」


「息ピッタリからの衝突、尊い……」


スマホ片手に実況しながら、BL的採点を始める二人。


「口論込みで百二十点」


「今日イチの名シーンだね」


ゲームそっちのけで、二人の“ペアリング実況”は止まらない。


一方、柊は淡々とカードを操り、盤上を冷静に支配していた。表情ひとつ変えず、相手の隙を突き続ける。

やがて次々とゲームが終わるころには、柊の前にだけ勝利の山が積み上がっていた。


「……また俺が一位か」


小さく肩をすくめ、賞品のお菓子を手にして微笑む。


「これは皆で食べるから」と静かに言う声に、どこか勝者の余裕がにじむ。


雨はまだ止まない。

ふと、隼人と大地が同時にため息をつき、互いに顔を見合わせて吹き出した。


「まあ、今日はお前とチームで楽しかったけどな」


「……オレもだ」


不意の言葉に、再び萌絵と涼が小さく悲鳴をあげる。


窓の外で雨脚が強まる。だが、部屋の中は温かい笑いと湯気のような熱気に満ちていた。

最後は山盛りのお菓子を囲み、いつもの冗談が飛び交う。

ゲーム盤の上で繰り広げられた小さな戦いと、友だち同士のからかい合い。

雨音をかき消すほどの笑い声が、大地の家に心地よく響き続けた。



いじめのはずがプロポーズでした

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