TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

無名の灯 答えを持たない相談室4

一覧ページ

「無名の灯 答えを持たない相談室4」のメインビジュアル

無名の灯 答えを持たない相談室4

23 - 第23話 家では普通なのに、学校に行くと動けなくなる

♥

7

2026年03月22日

シェアするシェアする
報告する

📩 相談


中学一年生・仮名:Mさん


家では普通に過ごせます。

ゲームもするし、家族とも話せます。


でも、学校に行こうとすると急に体が重くなります。

朝、準備はできるのに、玄関で止まります。

行かなきゃいけないのは分かってるし、サボりたいわけでもありません。

でも、どうしても足が動きません。


親には「甘え」と言われて、自分でもそう思ってしまいます。


こういうのってどうしたらいいんでしょうか。




「甘えではない」


即答。


Mさん

「……でも」


蓮司

「“行かなきゃ”って思ってる時点でサボりとは違う」


Mさん

「そうなんですけど」


日下部

「現象としては」

少し間。

「“場所による反応の差”が出ている」


Mさん

「反応」


「家では平気で学校だと無理」

短く言う。

「それ、珍しくない」


Mさん

「そうなんですか」


蓮司

「わりとある」


Mさんは少し驚く。


「でも」

小さく言う。

「理由が分からないんです」


「分からなくても起きる」


Mさん

「え」


日下部

「人は必ずしも明確な原因を自覚できるとは限らない」


Mさん

「……」


「ただ」

少し視線を向ける。

「“何もない”ことは少ない」


Mさん

「何かはある」


蓮司

「小さいのが積み重なってるパターンな」


Mさん

「例えば」


「人間関係」


蓮司

「評価」


日下部

「失敗経験」


「空気」


Mさんは少し黙る。


「……全部、少しずつあるかもしれません」


「それで十分理由になる」


Mさん

「でも」

少し強く。

「他の人も同じ環境なのに普通に行けてます」


「比較しなくていい」


即答。


蓮司

「耐性は人それぞれ」


日下部

「同じ刺激でも反応の強さは異なる」


Mさん

「……」


「問題は」

少し間。

「“行けるかどうか”じゃなくて“どう扱うか”」


Mさん

「扱う」


蓮司

「無理やり押し込むか調整するか」


Mさん

「押し込んだ方がいいんじゃないですか」


「短期ならあり」

少し間。

「でも続かない」


Mさん

「……確かに」


日下部

「反動が来る可能性がある」


Mさん

「じゃあどうすれば」


「段階を下げる」


Mさん

「段階」


「“学校に行く”を一つの塊にしない」


蓮司

「細かく分ける」


Mさん

「分ける」


「例えば」

指を軽く動かす。

「制服を着る

玄関まで行く

外に出る」


蓮司

「学校の近くまで行く」


日下部

「校門まで行く」


「入れたら入る」


Mさん

「……」

少し驚く。

「そこまで細かくていいんですか」


「いい」


蓮司

「むしろその方がいい」


日下部

「成功体験を分割する」


Mさんは考える。


「でも」

小さく言う。

「途中で止まったら意味ない気がします」


「ある」

短く。

「“そこまでできた”になる」


Mさん

「……」


蓮司

「ゼロか100で考えすぎ」


Mさん

「確かに」


日下部

「もう一つ」

静かに言う。

「“行けない日”を前提にする」


Mさん

「前提」


「全部行けるようにする、じゃない」

少し間。

「行けない日があっても崩れない形にする」


Mさん

「崩れない」


蓮司

「一回ダメで全部終わり、にしない」


Mさんは黙る。


「親には」

小さく言う。

「理解されないです」


「それもよくある」


蓮司

「“見えないやつ”だからな」


日下部

「外からは判断しにくい」


Mさん

「……」


「だから」

少しだけ柔らかく。

「自分で“甘えじゃないかどうか”証明しようとしなくていい」


Mさん

「え」


「状態として起きてるだけ」


蓮司

「現象な」


日下部

「評価ではなく事実として扱う」


Mさんはしばらく黙る。


「動けない自分が」

小さく言う。

「嫌でした」


「嫌でもいい」

短く。

「でも否定しすぎると余計動けなくなる」


Mさん

「……」


蓮司

「敵増やすだけだしな」


日下部

「自分も敵に含めると逃げ場がなくなる」


Mさんはゆっくり頷く。


「少しずつでもいいなら」


「いい」


蓮司

「むしろそれが現実的」


日下部

「継続可能な形が重要だ」


Mさんは立ち上がる。

ドアの前で振り返る。


「明日」

少し考える。

「とりあえず外に出るところまでやってみます」


「それでいい」


蓮司

「十分すぎる」


日下部

「一歩として成立している」


Mさんは小さく頭を下げた。

ドアが閉まる。

静かな空気。

蓮司が言う。


「“動けない系”って本人めちゃくちゃ責めるよな」


「見た目サボりに見えるからな」


日下部は静かに言う。


「しかし」

少し間。

「動けない状態は意思の弱さではなく反応であることが多い」

無名の灯 答えを持たない相談室4

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

7

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚