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体を丸めたまま、遥はじっと闇に身を沈める。床の冷たさが骨の奥まで届き、息を吐くたびに痛みが胸に響く。
目を閉じると、耳の奥で、昨日の笑い声や、結城たちの嘲笑が繰り返し再生される。
「……どうして、俺は……」
声にならない声が喉の奥で詰まる。
手を伸ばしても、空気だけが指の間をすり抜ける。
自分の身体なのに、動かせない。
存在そのものが、自分のものではない感覚に支配される。
暗闇の中、かすかに隙間から漏れる光が差し込み、床に長い影を作る。
その影が、自分の体を突き刺すように伸びて、胸を締めつける。
「……誰も、助けてくれない……」
震える声に、空気だけが応える。
耳元で囁く幻の声。
「もっと苦しめばよかったのに」
「やっぱり、あいつは弱すぎる」
昨日の結城たちの残酷な言葉が、再生されては胸を抉る。
時間の感覚が完全に溶ける。
何分経ったのか、何時間か、もうわからない。
寒さも痛みも、すべてが混ざり合い、遥の意識を侵食する。
小さく震える手を握りしめ、遥は自分の存在を確かめる。
「……俺は……ここに……いる……」
声は震え、唇をかみしめると血の味が口の中に広がる。
それでも、孤独の中で、生きている自分を無理やり抱きしめるしかなかった。
倉庫の扉の向こうに、誰もいないことを知っている。
そして、誰も来るはずがないことも、痛いほど理解している。
残されたのは、自分だけの身体と、侵食される心。
闇の中で、涙と息が混ざる。
絶望も恐怖も、すべてが身体に染み込む。
でも、どれだけ痛めつけられても、遥の意識はまだ消えていない。
生きるために、ただ小さく、かすかな呼吸を続けていた。