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土曜の昼下がり。大地の家に集まったいつものメンバー。勉強会……のはずが、居間にはゲーム機とお菓子の山。完全に遊ぶ気満々だ。
 「ピンポーン」
 玄関チャイムと同時に、元気いっぱいの声が響く。
 「だーいちゃーん! あそびにきたー!」
 小学校低学年くらいの女の子が駆け込んできた。
 「お、おぅ、芽衣? どうした、いきなり」
 「ママが買い物行くから、お留守番イヤって言ったら、ここでいいって!」
 芽衣と呼ばれた大地のいとこは、つぶらな瞳で部屋を一周。
そして——隼人を見つけた瞬間、ぴたっと止まった。
 「……わぁ」
 その目がキラキラ光り出す。
 「かっこいいお兄ちゃん……!」
 隼人が固まった。
 「え? あ、ええ?」
 芽衣は一歩前へ。
 「おにーちゃん、名前なに?」
 「お、お兄ちゃん……隼人、だけど」
 「はやとおにーちゃん! かっこいい〜!」
 パァァァッ。芽衣の声量に負けないくらい、隼人の耳まで赤く染まった。
 「え、あ、ありがと……?」
 柊がすかさずにやり。
 「隼人、子どもにモテモテじゃん」
 「こ、こら柊!」
 萌絵がスマホを構えながら囁く。
 「尊い……“赤面イケメン兄ちゃんとちびっこ天使”タグ、爆誕」
 涼も頷く。
 「このツーショット、ネットに出したらバズるな」
 「やめろぉ!」
 芽衣はそんな大騒ぎを気にも留めず、隼人の腕をぎゅっと掴む。
 「ゲームしよ! はやとおにーちゃんがいい!」
 「お、おう……」
 隼人は観念したように芽衣と並び、コントローラーを手に取る。
その横顔は、誰も見たことのない柔らかい笑みを浮かべていた。
 大地がぽつり。
 「……俺のいとこなんだけどな」
 柊が肩を叩きながらニヤリ。
 「兄ちゃんの座、奪われたな」
 「やめろって!」
 居間には、芽衣の笑い声と隼人の不器用な優しい声。
そしてそれを茶化す四人の爆笑が響いていた。