TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

遥はしばらく泣き続けた。胸の奥に溜まったものを吐き出すように。

それでも涙が枯れるころには、ただ疲れ果てて、日下部の肩にもたれかかっていた。


「……なぁ」


声がかすれる。

自分でも、なにを言いたいのかはっきりわからない。

けれど、言葉が零れ落ちる。


「……離れんなよ」


一瞬、沈黙。

遥の心臓が大きく跳ねた。

それは、ずっと口にできなかった願いだった。

言えば、壊れると思っていた。

言えば、拒まれると思っていた。


日下部の返事はすぐには返ってこなかった。

でも、腕の力が少しだけ強くなった。


「離れない」


その一言が、遥の胸の奥で何かを貫いた。


怖かった。

信じたいのに信じられない。

でも、ほんの一瞬でも――「繋がりたい」と思ってしまった自分がいる。

その事実が、遥をさらに混乱させる。


「……バカだよな、おれ……」


呟きながら、遥は日下部の服を握った。

握る手は震えていた。

だけど、自分から触れようとしたのは、初めてだった。


無名の灯 恋愛編

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚