テラーノベル
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誰かが近づいてくると、逃げたくなる。だけど、もし逃げなかったら――その瞬間、壊される気がする。
助けてほしいのに、助けられたら死ぬような気もする。
だから、わざと冷たくする。
距離を置く。
“もう知らねえよ”って態度で、自分から壊れに行く。
でも、それで誰かが離れていくと、胸の奥がひどく疼く。
「お前は嫌われるべきだ」って呪いみたいに思っているのに、
同時に「嫌われたくない」とも叫んでいる。
それはもう、声にならない叫び。
誰も気づかないし、気づかれたくもない。
「自分が嫌われるのは、自分の選択じゃない」って言い訳を作る。
けど、それが現実の中で唯一の慰め。
運命を受け入れれば、無力感は少し和らぐ。
優しさが来ると、無意識にそれを“罰”だと受け取る。
「お前がそれを受け取る価値なんてない」と心のどこかが叫ぶ。
だから“優しくされる自分”を壊そうとする。
壊せば壊すほど、少し楽になる。
けど壊れすぎると、もう戻れない気がする。
「壊れたいのか、壊れたくないのか」自分でもわからない。
その曖昧さが、いつも心を引き裂く。
壊れたふりをして、誰かの気を引こうとする自分もいる。
でも本当は、誰かに見られたくない。
矛盾の塊で、自分自身を殴っているみたいだ。
この矛盾の中で生きるのが、俺の“普通”だ。
誰にも説明できないし、理解してほしくもない。
でも、どこかで――ほんの少しだけ――
誰かに、「そのままでいい」と言ってほしい自分がいる。
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