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蓮司の相談室

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蓮司の相談室

第57話 - 第57話

2025年08月29日

#お悩み相談室

#BL

#一次創作

#短編

#読み切り

#ドラマ

ruruha

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椅子に腰を下ろすと、少年は小さく息をつき、肩をぎゅっとすくめた。

「……俺、嫌なことがあっても、つい耐えちゃうんです。

怒ったり泣いたりする前に、頭で“まあ仕方ない”って押さえ込んで……。

でも、心の奥ではずっとモヤモヤしてて」

蓮司はペンを回しながら、軽く肩を揺らして笑った。

「……ふーん。耐えちゃうタイプか。なるほどな、俺が知ってるやつに似てる気がする」

少年は小さく首をかしげた。

「知ってるやつ……ですか？」

「うん。遥とかいう奴。あいつも同じで、痛いことや理不尽なことに耐えちゃうんだ。

でもな、耐えるだけじゃ、心は消耗するんだぞ」

少年は視線を落とし、指先を弄る。

「でも、耐えないと……どうにもならないんです。

言い返せば悪化することもあるし、我慢したほうが安全な気がして」

蓮司はペンを机に軽く叩きつけ、飄々と笑った。

「それは確かに一理ある。でもな、“耐えるだけ”の自分に疲れるのは当然だ。

我慢してる間にも、心は少しずつ擦り切れていく」

少年はうつむき、声を絞り出すように言った。

「……そう思うと、自分の弱さが情けなくて……」

蓮司は少し真顔になり、ペンを回しながら言った。

「弱さじゃない。耐えられる自分を責める必要はない。

ただ、耐えることだけが正解だと思い込んじゃいけない。

感情を出すタイミングを、少しずつ学べばいい」

少年は目を瞬かせ、顔を上げた。

「感情を……出す？」

「そう。小さな声でもいい、紙に書いてもいい、信頼できる相手に少し話すだけでもいい。

耐えるだけの自分を抱え込むより、出すほうが、後で心はずっと軽くなる」

少年はゆっくりと頷き、肩の力を抜いた。

「……少しずつでも、やってみます」

蓮司は軽く肩を揺らし、飄々と笑った。

「それでいい。耐えられるのは強さだけど、出せる勇気も同じくらい強いんだ。

遥も、きっと同じことを学んでる」

少年は小さく微笑み、息をついた。

「……ありがとうございます。少し、自分を許せそうです」

蓮司はペンを回しながら、にやりと笑った。

「よし。それなら、耐えるだけじゃなくて、たまには心のガス抜きもしろよ。

強さは、溜め込みすぎたら折れるからな」