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アンジャッシュのコントを思い出しました。
夏帆ちゃん、 透也さんはすっかりホストだと思い込んでいて面白〜い! ムーンバックス☕と、健吾さん&理紗子さんのお名前も登場して、嬉しいです🥰💕💕
大好きなお話のおなじみのお名前やお店の名前か出ると嬉しい♡しかしまーぁ。夏帆ちゃんの中で透也さんはホスト😂😂私生活や見た目からの勘違いは噛み合わないね😂さ、転職先決まったなぁ🥰🥰
翌朝、夏帆は朝食のパンを買いに行くついでに、マンションの周辺を少し散策してみることにした。
これまで歩いたことのない、公園の東側へと足を向ける。
その道は交通量も少なく、静かな裏通りだったが、地元の人が日常的に使う生活道路のようだ。
数分ほど歩くと、右手に見覚えのあるロゴが目に入る。
(えっ? 私の好きな“moonbacks coffee”! こんなところにあるんだ)
カフェ好きの夏帆がいちばん気に入っている店だ。思わぬ発見に気分が上向く。
(せっかくだし、ここで朝ごはんを食べていこうかな)
そう思い、通りを渡って店内へ入った。
店に入ると、朝にぴったりの心地よい音楽が流れていた。
「おはようございます」
学生風のイケメン店員が、にっこりと笑顔で迎えてくれた。
「おはようございます。えっと……ラテのホットをトールで。それと、このサンドイッチを」
陳列ケースに並んだハムとチーズのカンパーニュサンドを選び、レジに置く。
夏帆は、この素朴で田舎風のカンパーニュが大好きだった。
会計を済ませると、トレーを持って窓際の席へ向かう。
通りがよく見える場所だ。
住宅街にある店だからか、店内は空いていて、妙に居心地がいい。
(気に入ったわ! これからもちょくちょく来ようっと)
そう思いながら、さっそくサンドイッチにかぶりついた。
そのとき、入口の自動ドアが開いた。
背中を向けていた夏帆は気づかなかったが、入ってきたのは透也だった。
仕事を終えてタクシーで戻ってきたところ、窓際に夏帆の姿を見つけて立ち寄ったのだ。
「すみません、コーヒーとドーナツをひとつ!」
軽く朝食を済ませようと、透也はドーナツをひとつ注文する。
頭を使ったあとは、甘いものが欲しくなる。
トレーを受け取ると、まっすぐ夏帆のいる窓際へ向かい、声をかけた。
「おはよう! お嬢さん」
突然背後から声をかけられ、夏帆は飛び上がりそうになる。
慌てて振り向くと透也がいたので、さらに目を見開いた。
「わ、びっくりした! おはようございます」
「驚かせてごめんね~。前、座ってもいい?」
「ど、どうぞ……」
席はほかにも空いているのに――と一瞬思ったが、断り切れずにそう返した。
「今、朝食?」
「あ、はい……えっと……」
同じ質問を返そうとして、夏帆は彼の名前を聞いていないことに気づく。
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すると透也が先に口を開いた。
「ごめん、俺、名前言ってなかったね。中条透也っていいます。これから隣人としてよろしくね~」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「藤田さんの下の名前は?」
「“夏帆”です」
「どんな字?」
「“夏”に“帆掛け船”の“帆”です」
「そっか。いい名前だね~」
「ありがとうございます。ところで、今からお仕事ですか?」
仕立ての良いスーツをきちんと着こなした透也を見て、夏帆はわざとらしく問いかけた。
彼が夜の仕事をしていることは知っていたが、あえて知らないふりをして尋ねたのだ。
「ううん、今仕事帰り」
透也は気にする様子もなく、コーヒーを一口飲む。
夏帆は、彼の仕事を探るべく、思い切って聞いた。
「朝に仕事帰り……ということは、夜のお仕事なんですよね? 失礼ですが、どんなお仕事をされているんですか?」
「うーん、なんて言えばいいのかなぁ~。大きなお金を動かす仕事……って感じ?」
透也は多くを語らず、ただそう答える。
(“大きなお金を動かす仕事”? そっか……ホストクラブって一晩で相当なお金が動くっていうし……やっぱりそうなんだ)
サンドイッチを食べながら、夏帆は透也を観察した。
夜勤明けの駿介はいつもよれた格好だったが、透也は乱れたところがない。
むしろ、今から出勤するのかと思うほど、きちんとしていてさわやかな雰囲気だ。
(スーツやシャツが上質なせい?)
もう一度透也を見ると、彼はドーナツを口へ運ぶところだった。
「えっ? ドーナツっ?」
思わず声が漏れる。
「え? ドーナツが朝食じゃダメ?」
「い、いえ……すみません。意外だったから……」
「疲れたときは甘いもの食べたくなるんだよね。ここのドーナツ、美味しいでしょ? 癖になる美味しさだもん」
「たしかに……」
夏帆は急に親しみを感じた。
自分もこの店のドーナツが大好きだったからだ。
透也はドーナツを頬張りながら続ける。
「この店ね、俺の知人が経営してるんだ。だから、売り上げに貢献しないとさ」
「えっ! そうだったんですか?」
“moonbacks coffee”のCEOといえば、有名投資家の“佐倉健吾”だ。
花田証券のセミナーにも何度もゲストとして来てくれていたし、彼の妻は夏帆が大好きな恋愛小説家・水野リサである。
「佐倉健吾、知ってるんだ」
「もちろんです」
「意外だなあ。あ、でも、そうか。女性ファッション誌なんかにもよく載ってたもんね」
「それもありますが、奥様が有名な小説家でしたよね?」
「リサちゃん? そうそう」
「それに私、前職が証券会社だったので、セミナーでお見かけしたこともあって」
その言葉に、コーヒーを飲もうとしていた透也の手が止まった。
「えっ? 夏帆ちゃん、証券会社に勤めてたの?」
いきなり下の名前で呼ばれたので、夏帆はドキッとした。
「ええ……。それが何か?」
「びっくりしたな~。そっか、そうだったんだ」
「?」
「で、たしか仕事辞めたんだよね? 転職先はもう決まった?」
「まだです。やっと引っ越しの荷物が片付いたところなので」
「ふーん、そっか。まあ、元証券会社にいたお嬢さんの転職先なら、少し心当たりがあるよ。困ったらいつでも言って。紹介するから」
「ま、まさかそんな……。不動産会社を紹介していただいただけでもありがたかったのに」
(ホストクラブの客に証券会社の幹部でもいるのかしら? でも、そんな証券会社って絶対ヤバいはず……そんなところ、嫌だわ!)
そんなことを思って苦笑した瞬間、夏帆はハッとした。
あの不動産屋を教えてくれた透也に、まだきちんと礼を言っていなかったからだ。
「あのマンションを見つけられたのも、中条さんのおかげです。本当にありがとうございました」
「ううん、気にしないで。それよりもあそこ気に入ってくれたみたいで良かったよ」
「もう、すごく気に入りました! 住み心地も最高だし、景観も素晴らしいし」
「ははっ、そこまで言ってくれると嬉しいね。実はあのマンション、俺がオーナーなんだ」
「え?」
「20代のころ、一番最初に手に入れた不動産が、あのマンションだったんだよね~」
「にっ、20代で?」
夏帆は思わず声を上げた。
(ホストって儲かるのね……)
「そう。だから俺もいいかげん引っ越せばいいのに、気に入っちゃってなかなか離れられないんだよな~」
(あ、そっか。ホストならもっとお店に近い方が便利だものね)
ひとり納得しながら、夏帆は作り笑いを浮かべ、食べかけのサンドイッチを口に運んだ。