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相談者は座るなり言った。
「俺、いても意味ない気がする」
蓮司は顔を上げる。
「どこで」
「グループ」
「友達?」
「一応」
相談者は机を見る。
「でもさ」
「うん」
「俺いなくても成立するんだよ」
沈黙。
「普通じゃない?」
蓮司が言う。
「そうなんだけど」
相談者は首を振る。
「なんか違う」
「どう違う」
「俺がいる意味がない」
蓮司は続きを待つ。
「例えば」
「うん」
「四人でいる」
「うん」
「俺がいなくても三人で盛り上がる」
「うん」
「話も回る」
「うん」
「笑いも起きる」
少し間。
「俺が入ると」
「うん」
「席が一つ増えるだけ」
相談者は苦笑する。
「空気は変わらない」
沈黙。
「それいつ気づいた」
「写真」
「写真?」
「集合写真」
「うん」
「俺写ってないやつ見た」
「うん」
「普通に楽しそうだった」
相談者は笑う。
「当たり前なんだけど」
「刺さった?」
「刺さった」
少し沈黙。
「じゃあ聞く」
蓮司が言う。
「お前がいないと成立しない関係ってある?」
相談者は考える。
長い。
「……ない」
小さく言う。
「今は」
「今は」
蓮司は頷く。
「それ普通」
相談者は顔を上げる。
「普通?」
「グループって」
蓮司は言う。
「特定の一人で回ってること少ない」
「そう?」
「代わり効く」
相談者は黙る。
「残酷だけど」
「うん」
「だいたいそう」
沈黙。
「じゃあ俺」
「うん」
「いらないじゃん」
「違う」
蓮司は言う。
「“いないと成立しない”と」
「うん」
「“いてもいい”は別」
相談者は眉を上げる。
「別?」
「人間関係って」
蓮司は続ける。
「必要だからいるわけじゃない」
「じゃあ何」
「一緒にいてもいいからいる」
相談者は黙る。
「お前」
「うん」
「そのグループで笑う?」
「笑う」
「会話する?」
「する」
「じゃあ成立してる」
相談者は少し考える。
「でも特別じゃない」
「大体そう」
沈黙。
「“いないと成立しない人”って」
蓮司は言う。
「だいたいリーダーか依存」
相談者は苦笑する。
「どっちも嫌だな」
「だろ」
少し静かになる。
「あと」
蓮司が言う。
「人は」
「うん」
「自分が抜けた穴を過大評価する」
「え」
「実際はすぐ埋まる」
相談者は笑う。
「めちゃくちゃ現実」
「でも」
「?」
「逆もある」
相談者は首をかしげる。
「逆?」
「お前も」
蓮司は言う。
「そのグループ以外でも成立する」
少し沈黙。
相談者は立ち上がる。
「……それ考えたことなかった」
ドアの前で振り返る。
「俺」
「うん」
「ここ以外でも生きていいんだ」
蓮司は頷く。
グループは、
誰か一人で回っていることは少ない。
だからといって、
そこにいる意味が無いわけでもない。
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