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#闇
ruruha
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蒼蔴
70
シュメール
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ドアが開く。
相談者は椅子に座る。
「最近、断りたいことがあるんだけど」
蓮司は向かいに座る。
「断ればいい」
「それができたら来てない」
「何を断りたい」
「友達から頼まれごとされてて。別に大したことじゃないんだけど、正直ちょっと嫌なんだ」
「じゃあ嫌なんだな」
「……そこが分からない」
蓮司が少し眉を上げる。
「嫌じゃないの?」
「嫌。でも、こんなので嫌がる自分って心狭いのかなって」
「頼まれた内容が嫌なのか」
「それもある。でも、それ以上に『断ったら相手がどう思うんだろう』って考える」
「じゃあ、嫌なことより、断った後の方が気になってる」
相談者は黙った。
「そうかもしれない」
少し間が空く。
「自分が本当に嫌なのか、相手に嫌われるのが怖いだけなのか、分からなくなる」
蓮司は少し考える。
「じゃあ、その友達が絶対に怒らないとしたら?」
「え?」
「断っても嫌われない。関係も変わらない。何も問題が起きない」
相談者は少し考えた。
「……断る」
「じゃあ、嫌なんじゃないか」
「でも」
「まだある?」
「相手が困る」
「それは嫌とは別の話だな」
相談者は黙る。
「相手が困るから助けたい。それは優しさ」
「うん」
「自分も嫌なのに、嫌じゃないことにする。それは我慢」
「……似てるようで違うな」
「かなり違う」
静かな時間が流れる。
「嫌って思った時点で、相手を嫌いになるわけじゃない」
「そうなの?」
「『今日は無理』と『あなたが嫌い』は別だろ」
相談者は少し笑う。
「確かに」
「でも、断ることを拒絶だと思うと、全部飲み込むことになる」
「だから苦しくなるのか」
「自分の気持ちを確認する前に、相手の気持ちを考えてるからな」
相談者は机を見つめた。
「いつもそうだ」
「何か頼まれる」
「うん」
「まず相手の顔を見る」
「見る」
「その時点で、自分の答えを後回しにしてる」
相談者は少し黙る。
「じゃあ、最初に自分に聞けばいいのか」
「『俺はどうしたい?』って?」
「そう」
「でも、それで嫌だと思ったら?」
「断ってもいい」
「理由がなくても?」
蓮司は少し考える。
「理由はあった方が伝わりやすい。でも、相手が納得するまで自分の気持ちを証明する必要はない」
相談者は顔を上げた。
「……それ、結構大事かも」
「だろ」
「嫌だと思ったことを、嫌じゃないってことにしなくていいんだな」
「そこから始めればいい」
相談者は少し笑う。
「断るかどうかは、そのあと考える」
「それでいい」
ドアの前で、相談者が振り返る。
「自分が嫌なのか分からないんじゃなくて、嫌だと思った瞬間に、相手のことを考えて消してたのかもしれない」
蓮司は頷く。
「自分の気持ちを採用するかどうかは別として、まず聞いてやれ」
相談者は静かに頷き、部屋を出ていった。
ドアが閉まる。
「嫌だ」と思うことと、「嫌な人間になる」ことは同じではない。
誰かを大切にすることと、自分の気持ちを無かったことにすることも、同じではない。
まず自分がどう感じているのか。
そこを確認するくらいは、自分勝手ではないのかもしれない。
コメント
1件
**美月ゆめか🌸の感想** うわあ…この回、すごく刺さった😢💔 「嫌だと思うこと」と「嫌な人間になること」が同じじゃないって、蓮司くんの言葉が優しすぎて泣ける…。頼まれた時にまず相手の顔を見ちゃう、自分の気持ちを消しちゃうの、めっちゃわかるよ。私もよく「こんなことで嫌がる自分って心狭いかな」って考えちゃうタイプだから、まさにコレって感じだった😭 「まず自分に聞いてやれ」ってセリフ、毎日の人間関係のヒントになりすぎ…ありがとうruruhaさん…!この作品、高校生にも大人にも響くと思う!💕