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みぅです🤍🥀 第50話「戻る」、読み終わりました。 保健室の静けさと教室のざわつきの対比がすごく刺さりました……。遥が「戻らない選択肢」を考えもしないところ、もうその"当たり前"になっちゃってるのが胸が痛すぎます。「また迷惑をかけた」っていう自己責任の思考、読んでて息ができなくなりました。許されるべきは遥の方なのにね。 ラストの背中に降り続ける笑い声、ずっと残ってます。重いけど、ちゃんと見届けたいです。
カーテンが半分閉まっている。保健室。静かだった。時計の秒針だけが、小さく音を立てている。 遥はベッドに横になったまま、天井を見ていた。消毒液の匂い。白い天井。遠くから聞こえるチャイム。 保健室の先生は奥で書類を書いている。話しかけてはこない。遥も話さない。しばらくして。カーテンが少し揺れた。
先生
遥
先生
それだけ。また静かになる。遥は天井を見たまま、小さく息を吐く。
遥
目を閉じる。思い返す。 「腹立つ」 「気持ち悪い」 「邪魔」 「反応しろ」 「立て」 「返事」 全部。聞き慣れた言葉。だから。驚きはない。怖くもない。いや。怖いことすら、もう当たり前だった。 遥は自分の腕を見る。小さな震えが残っている。それを見ても、何も思わない。
遥
また。耐えられなかった。 また。立っていられなかった。 また。迷惑をかけた。 そう思う。教室。授業。先生。全部止めた。
遥
遥
遥
誰も。「やりすぎた」とは思っていない。 悪いのは。倒れた自分。 止まった授業。迷惑をかけた自分。 そう考える方が、遥には自然だった。
先生
遥
戻る。その言葉だけで。胸が少し重くなる。 戻れば、また見られる。また笑われる。また名前を呼ばれる。また始まる。それでも。戻らないという選択肢は、遥の中にはなかった。
五時間目。廊下。保健室のドアが閉まる。 遥はゆっくり歩き出す。足取りは重い。 教室へ近付くたび、教室の中から笑い声が聞こえてくる。遥は無意識に歩幅を小さくした。 教室の前。一度だけ立ち止まる。
遥
そう思っても、手が動かない。数秒。そのまま立ち尽くす。中から教師の声が聞こえる。
教師
遥は小さく返事をする。
遥
ガラッ。 ドアを開ける。教室中の視線が集まる。ほんの一瞬。それだけなのに。遥の肩が強張る。
教師
遥
それ以上は何もない。遥は自分の席へ向かう。歩くだけ。それだけなのに。前の席から小さな声。
男子A
笑いを堪える声。
男子B
女子A
遥は反応しない。席へ座る。椅子を引く音だけが響く。教師は授業を続ける。 黒板に文字を書き始める。 遥はノートを開く。手が少し震える。シャーペンを持ち直す。 後ろから。紙が飛んでくる。机に当たって落ちた。教師は気付かない。遥も拾わない。 数秒後。また小さな紙。今度は背中に当たる。後ろで笑い声。
男子B
男子A
遥は黒板だけを見る。振り向かない。何も言わない。その沈黙が、また小さな笑いを生んだ。 教師の声だけが教室に響く。その下で。授業とは関係のない笑い声が、何度も何度も、遥の背中に降り続けていた。