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翌日。 透は、自分の名前で呼ばれなかった。 朝。教室。扉を開ける。 いつもの教室。いつもの声。 でも。誰も、最初に透を見なかった。
透
小さい声。結衣が、少し遅れて顔を上げる。
結衣
まるで。“今気づいた”みたいに。 透は席へ向かう。その途中。 男子Aの肩に、 軽くぶつかった。
男子A
男子Aが、驚いたように振り返る。
男子A
透の胸が冷える。 冗談じゃない。本気で言っている顔。 席に座る。スマホ。
【未読3件】
変わっていない。 でも。昨日より、明らかに空気がおかしかった。 透が喋る。反応が一瞬遅れる。 視線が滑る。気づかれにくい。 “認識しづらい”。 白石と同じ。透は、 嫌な汗をかく。
伊織
透
伊織が、少し声を潜める。
伊織
透
伊織
伊織が困った顔をする。
伊織
透の呼吸が止まりそうになる。 それ。白石の時と同じだ。 その時。 ブッ。 通知音。透のスマホ。
【母:既読ついてる?】
透
母から。普段なら、普通のメッセージ。 でも今は違う。その文が、異常に重く見える。
【既読ついてる?】
まるで。確認されている。“存在を”。 透は、すぐ返信しようとする。 でも。指が止まる。 怖い。返信したら。また移る。でも、 放置したら。 ブッ。
【未読4件】
透
増えた。しかも。送り主。
【母】
透の喉が冷える。まだ数秒しか経ってない。なのに。
【どうしたの?】
【何かあった?】
【返事して】
連投。透は、 急いで返信を打つ。
『大丈夫』
送信。既読。瞬間。教室後ろ。 ブッ。 透が凍る。 ロッカー。通知音。さらに。窓際。 ブッ。 天井。 ブッ。 透だけじゃない。未読が、校内に増殖している。
結衣
結衣の目が虚ろだった。
結衣
奈央
奈央も限界そうだった。 凛なんか、完全に透から距離を取っている。
凛
低い声。透を見る。
凛
透
凛
透
凛
教室が静まる。凛の声には、怯えが混じっていた。
凛
その言葉。透の胸に刺さる。 白石も、こうやって避けられたのかもしれない。 返信が重い。通知が怖い。 だから。少しずつ、距離を取られて。 気づいた時には、誰も近づかなくなる。 その時。透のスマホ。 勝手に、 インカメラが起動した。
透
画面。自分の顔。 でも。少しぼやけている。ノイズ。 頬の輪郭が、時々消える。
透
結衣
透は、震える手で画面を見せる。 沈黙。奈央が、小さく息を呑む。
伊織
透の顔。写真の中で。 ゆっくり、 薄くなっていた。その瞬間。 ブッ。 新着。
送り主:【朝比奈透】
透の血の気が引く。開く。そこにあったのは。
【見えてる?】
『お餅』🌹
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るしゅ