テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『お餅』🌹
361
るしゅ
昼休み。透は、自分の席に座っていた。 でも。妙に遠い。 教室の声が。笑い声。机を動かす音。 全部。ガラス越しみたいに聞こえる。
透
スマホを見る。
【未読4件】
減らない。 しかも。新しく届く通知より、“古い未読”の方が重い。 まるで。 読まれなかった感情だけが、腐って残っているみたいだった。 透は、周囲を見る。伊織達。いる。 でも。誰も、自分を見ていない。
透
呼ぶ。
伊織
数秒遅れ。伊織が振り向く。
伊織
透の胸が冷える。 まただ。結衣なんか、もっと酷い。 結衣は、ずっとイヤホンをしていた。 音楽なんか流れてない。 通知音を消したいだけ。 でも。時々、肩を震わせる。聞こえてる。まだ。 その時。
女子A
女子Aが、スマホを見て止まる。
男子A
女子A
女子Aが、透を見る。変な顔。
女子A
透の喉が冷える。
女子A
空気が止まる。
透
女子A
凛が、透を見る。 そして。小さく顔をしかめた。
凛
透
凛
凛が目を逸らす。
凛
透の呼吸が浅くなる。 それ。白石の時。みんなが言っていた。 ブッ。 透のスマホ。
【未読5件】
送り主:【朝比奈透】
透の背筋が凍る。 また。自分から届いてる。開く。
【まだ見えてる?】
透
次の瞬間。インカメラ起動。 画面。自分の顔。 でも。左目だけ、ぼやけている。 ノイズ。輪郭が崩れている。 透は、慌ててスマホを伏せる。
伊織
透
伊織
伊織が、透のスマホを奪う。 画面を見る。 そして。固まる。
伊織
透
伊織
伊織の声が震える。
伊織
透
透が、スマホを見る。画面。 映っていたのは。“透”。 でも。少し違う。目の下が黒い。顔色が悪い。 そして。そいつは。透を見ながら、笑っていた。
透
反射的にスマホを落とす。 ガタン!! 教室が静まる。床に落ちたスマホ。 なのに。画面の中の“透”だけ、まだ動いている。 ゆっくり。口が動く。
『あとで返す?』
透の血の気が引く。 その瞬間。教室後ろ。 ブッ。 全員振り向く。白石の席。誰もいない。 でも。椅子が、少しだけ揺れている。 ギ……。 そして。机の上。スマホ。知らないスマホ。画面点灯。
【未読1件】
送り主:【朝比奈透】
奈央
結衣が、震え始める。
結衣
透の喉が冷える。 白石と同じだ。 席。通知。“残る”。 存在が薄くなった人間の、痕跡だけが。 その時。透のスマホ。また通知。
【未読6件】
【返信、待ってるよ】
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!