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ruruha
るしゅ
24
黒板に、くじの結果が貼り出される。
担任
ざわつく教室。
佐伯
前の席を見る。 仲のいいやつがいる。
佐伯
くじを引く。 番号を見る。 17番。 黒板を確認する。 窓側、後ろから二番目。
佐伯
席に向かう。 そこに座っているのは。木村。 あまり話したことはない。
木村
軽く会釈される。
佐伯
座る。 少し、距離を感じる。 それだけ。そのはずだった。 授業が始まる。 ふと気づく。 前の席。 さっきまで仲のいいやつがいたはずなのに。 思い出せない。
佐伯
名前が出てこない。顔も、曖昧。
佐伯
気のせいだと思う。 昼休み。 いつものメンバーのところに行く。
佐伯
全員が、こちらを見る。 でも。 少し、間が空く。 一人が言う。
山口
空気が止まる。
佐伯
笑う。冗談だと思う。
佐伯
でも。誰も笑わない。
山口
佐伯
胸の奥が冷える。 席に戻る。 木村がいる。
木村
なぜか、安心したような顔をする。
木村
佐伯
木村は少し考えて。
木村
意味が分からない。
木村
小さく言う。
木村
佐伯
木村
こちらを見る。
木村
笑わない。 ただ、事実みたいに言う。
佐伯
即答する。 でも。頭の中で。 さっきの違和感が繋がる。 思い出せない名前。知らない目。
木村
佐伯
答えられない。
木村
午後。 授業中。 黒板を見る。 でも、集中できない。 隣の存在だけが、やけに近い。 呼吸。音。気配。 木村が、少し笑う。
木村
佐伯
木村
机を軽く叩く。
木村
放課後。 教室に残る。 佐伯は、もう一度前の席を見る。 空いている。 いや。 最初から、誰もいなかった気がする。
佐伯
否定する。 黒板を見る。 席順の紙。 名前が並んでいる。 佐伯は、自分の名前を探す。 佐伯 17番。 その隣。 木村 その前。空白。
佐伯
さっきまで、人がいたはずの場所。 名前が、ない。 最初から、存在しなかったみたいに。 背後から声。
木村
振り返る。木村が立っている。
木村
佐伯
木村は首をかしげる。
木村
即答。
木村
一歩、近づく。
木村
静かに。
木村
意味が、分かる。 遠い関係は。 切れる。 存在ごと。
佐伯
木村は、優しく笑う。
木村
肩に手を置く。
木村
その手が、重い。 教室を見る。 他の席。 あちこちに、空白がある。 でも。誰も気にしていない。 最初からそうだったみたいに。
木村
小さく呟く。
佐伯
木村は頷く。
木村
黒板を見る。 席順の紙。 その上に。 赤い文字が浮かんでいる。
確定
佐伯の喉が乾く。 木村が、隣に座る。 距離が、近い。 逃げ場がない。
木村
小さく笑う。
木村
その言葉に。 なぜか、安心してしまう。 違和感が、消える。 遠かったはずのものが、どうでもよくなる。 思い出せない名前も。 最初から、いなかったみたいに。
翌日。 教室。 席はそのまま。 空白も、そのまま。 誰も疑問に思わない。
担任
名前が呼ばれていく。 空白の席は、飛ばされる。 当たり前のように。
担任
静かな教室。 誰も、足りないとは思わない。 ただ一つ。 隣にいる誰かだけが。 やけに近く感じる。 その距離だけが。 この世界の全部だった。
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