テラーノベル
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朝の教室は、いつも通りの顔をしていた。
いつも通り、というのが一番気味が悪い。
晴翔は席に座ったまま、昨日の続きを探していた。
何か違和感があるはずなのに、それが何か分からない。
スマホが震える。
もう反射で開いてしまう。
動画アプリ。
ホーム。
おすすめ欄。
【“昨日の会話がなかったことになる時の特徴”】
晴翔の指が止まる。
「……は?」
声が漏れる。
瀬那が後ろの席から覗き込む。
一瞬で顔が変わった。
「最悪」
「何が」
瀬那は、言葉を選ばずに言う。
「もう“現実”に触ってきてる」
晴翔は意味が分からないまま立ち上がる。
「昨日さ」
「何」
「教室でさ、俺らのこと言ってたやついたじゃん」
瀬那は少し黙る。
「……誰の話だ」
その一言で、空気が止まった。
「は?」
瀬那はもう一度言う。
「そんな話、してない」
一瞬。
理解が追いつかない。
「いや、してたろ」
晴翔は声を強める。
「距離近いって。空気変だって。お前も聞いてただろ」
瀬那は、晴翔を見たまま動かない。
そして、
「俺は何も聞いてない」
教室が一気に遠くなる。
晴翔は周囲を見る。
何人かが普通に笑っている。
何もなかったように。
「……嘘だろ」
その時。
スマホがもう一度震える。
おすすめ欄。
更新。
【“記憶が共有されなくなった時に起きること”】
晴翔の呼吸が止まる。
「共有……?」
瀬那が小さく息を吐く。
「もうズレてる」
「何が」
瀬那は少しだけ視線を落とす。
「お前の世界と、俺の世界」
「意味わかんねぇって」
瀬那はすぐには答えない。
代わりに、机に指を置いたまま言う。
「おすすめが、昨日を消した」
教室の奥で、笑い声がする。
「そういえばさ」
#かごめかごめ
桜城優衣🌸
133
サム&主主
94
#参加自由
重田💋(omoda)
211
「なんか昨日って普通だったよな」
その“普通だったよな”が、晴翔の中でひっかかる。
普通。
昨日は普通だった?
違う。
絶対違う。
でも、誰も覚えていない。
瀬那が小さく言う。
「これが一番やばい」
「何が」
「“なかったことにされる”のが」
晴翔はスマホを握りしめる。
手汗がにじむ。
ブッ。
また通知。
開く。
おすすめ欄。
【“存在していたのに誰にも思い出されない人の特徴”】
晴翔は画面を落としそうになる。
その瞬間。
教室の後ろから声。
「なぁ」
振り向く。
クラスメイトの一人。
少し困った顔。
「晴翔ってさ」
間。
「昨日、なんか喋ってたっけ?」
空気が完全に止まる。
瀬那が立ち上がる音がする。
椅子が鳴る。
そして、静かに言った。
「もうここまで来たか」
晴翔は気づく。
これはもう“噂”じゃない。
削除されている。
現実ごと。
コメント
1件
うわ……これ、本当に怖いですね……。 “昨日の会話がなかったことになる”って発想、ゾッとしました。 晴翔だけが覚えてる違和感、周りはみんな“普通だった”って顔してるのが一番不気味。 「お前の世界と、俺の世界」って瀬那の台詞、心臓にじわっと来ました。 “削除されてる現実”っていう感覚、すごく引き込まれます。 次の話が気になって仕方ないです……🥀