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カーテンの隙間から入る光が、いつもより白かった。
真白はそれだけで、今日は少し明るい日だと判断する。
「起きてる?」
「起きてる」
「顔は?」
「半分」
「半分かあ」
布団の中で、真白がごそごそ動く。
隣でアレクシスが小さく笑った。
「正月ってさ」
「うん」
「起きる時間、自由だよね」
「普段も、わりと自由だけど」
「今日は公認」
「それは強い」
二人で布団を抜け出し、リビングへ向かう。
足元が冷たくて、真白が一歩だけ跳ねた。
「冷たい!」
「スリッパ」
「忘れた」
「戻る?」
「……いい」
そのまま、アレクシスの背中に軽くくっつく。
「くっつく理由、雑」
「正月だから」
「万能すぎる」
キッチンに立つと、外の静けさがよくわかる。
車の音も、人の声も、少ない。
「なんか、世界が休んでる感じ」
「いい表現」
「今日は何する?」
「特に決めてない」
「それもいいね」
トースターが鳴り、二人同時に振り向く。
「同時」
「息合ってる」
「今年も好調」
パンにバターを塗りながら、真白が言う。
「お雑煮、作らない?」
「材料ない」
「じゃあ、来年」
「気が早い」
「でも、忘れそう」
「メモする?」
「しない」
「だよね」
テーブルに並んだのは、パンと卵と、コーヒー。
特別じゃないけど、どこか楽しい。
「ねえ」
「なに」
「今年もさ」
「うん」
「いっぱい笑おう」
「目標?」
「ゆるいやつ」
「達成率、高そう」
「アレクがいれば」
「それは、プレッシャー」
「期待」
「……応える」
真白は嬉しそうに笑う。
その笑いにつられて、アレクシスも口元を緩めた。
窓の外は、静かで明るい。
部屋の中は、声と音が少し多い。
正月は、こういう始まりでいい。
何も決めず、ただ笑っているだけの朝。